豚肉はビタミンB、内臓系はミネラルが豊富

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豚肉はビタミンB、内臓系はミネラルが豊富
 
高齢者は肉を食べたほうがいいといっても、時と場合によります。
 
あるテレビ番組に出演して、食事と栄養について話をする機会に恵まれました。
そのとき、出演者のなかに、やや貧血気味の方がいらっしゃいました。
 
食事の内容を聞いて、「もう少しタンパク質をとったほうがいいですね。日本人は魚をよく食べているけれども、肉の量がまだまた足りない」という話をしたのです。
 
すると放映後、次々と電話がかかってきました。
多くは、「健康食は魚なのに肉を食べろとは何事か」という「お叱り」の内容でした。
番組でも丁寧に説明したつもりなのですが、それでも「健康食=魚」という思い込みが、頭からどうしても抜け切らないのだということを実感しました。
 
また、「自分は病気を抱えているので、そんなに肉をとって問題ないか」「私は糖尿病で腎臓が悪くなっているので、タンパク質の制限を求められている。それなのに、タンパク質をとれというのはおかしいのではないか」という電話もありました。
もちろん、そうした持病のある方は、医師の指導にしたがって食事を制限する必要があります。
テレビ画面には、「基礎疾患、糖尿病、腎臓病のある方はかかりつけの先生にご相談ください」と表示されたのですが、なかなかそこまでは注意して見てくださらないようです。
 
さらには、「私の知り合いに、肉ばかり食べて心筋梗塞で早死にした者がいる。その奥さんも最近認知症になった」という「怒り」の電話もありました。
どの程度肉ばかり食べていたのかわかりませんが、身近にそういう人がいると、印象が強いのでしょう。
 
疫学的な見地からいえば、この電話のような例では、あまりにも対象とする人数が少ないので、肉を食べたことと心筋梗塞認知症の因果関係がわかりません。
そうした誤差を生じさせないために、疫学調査は何百人、何千人という人を対象にして行うわけです。
 
いずれにしても、肉ばかり食べていたらやはり体によくありません。
極端に走れば、心筋梗塞になるリスクが増大するのは当然です。
 
番組の出演者のなかには、ほぼ毎日肉ばかり食べて13000キロカロリーをとっているという若い方がいましたが、いくらなんでもこれは行きすぎです。
検査をしてみると、確かにアルブミンやヘモグロビンの値が高くて栄養状態がいいのはわかりましたが、ほかの健康指標も調べていけば、どこかにアンバランスなところが出てくるはずです。
 
もともと粗食がちの高齢者には「少しは肉をとるように」とすすめていますが、若い時期にこのように肉ばかりとっていると、遅かれ早かれいつかは健康上の問題が発生する可能性が高いと思います。
 
ところで、14項目ある「老化予防を目指した食生活指針」の4番目には、「肉は、さまざまな種類や部位を食べるようにする」とあります。
これは、いくら肉がいいといっても、特定の肉ばかりを食べるのではなく、牛肉、鶏肉、豚肉といったようにさまざまな種類、そして、内臓系、ホルモン系といった部位をバランスよくとってほしいという意味です。
たとえば、豚はビタミンB類が豊富ですし、内臓系はミネラルが豊富です。
 
ある講演でそういうことを話すと、「内臓をたくさん食べると、重金属の蓄積が問題ではないですか」という質問をした人がいました。
 
もちろん、きちんとした飼育方法で育てられた肉を食べるのが一番であることはいうまでもありません。
そのうえで、さまざまな種類や産地の肉を食べていれば、たとえどこかの肉に有害物質が多少まぎれこむ可能性があっても、リスクが分散されます。
これは、肉だけでなく、魚や野菜、米など、どの食品にも当てはまることです。
種類や産地を分散させることによって、有害物質が体内に蓄積する危険性を減らすことができるのです。
 
【老化予防を目指した食生活指針】
1         食事は1日に3回バランスよくとり、食事は絶対に抜かない。
2         動物性タンパク質を十分にとる
3         魚と肉は11の割合でとり、魚に偏らないようにする
4         肉は、さまざまな種類や部位を食べるようにする
5         油脂類の摂取が不足しないように注意する
6         牛乳は毎日200ミリリットル(1)以上飲む
7         野菜は、緑黄色野菜や根菜類など、たくさんの種類を食べ、火を通して調理し、摂取量を増やす
8         食欲がないときは、おかずを先に食べ、ご飯を残す
9         調味料を上手に使い、おいしく食べる
10     食材の調理法や保存法を覚える
11     和風、洋風、中華など、さまざまな料理をつくるようにする
12     家族や友人と会食する機会を増やす
13     かむ力を維持するため、義歯の点検を定期的に受ける
14     健康情報を積極的に取り入れる
50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
 
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近年、日本人の死因の上位占めているガン・心筋梗塞・脳血管系の疾患、そして高血圧症などの生活習慣病の多くは、戦後、日本人の食生活が欧米化し、動物性食品を多くとるようになったことに起因すると言われています。
 
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
ビタミンB12を摂取できないことで、脳のビタミンとしての作用が欠落してしまうという深刻な問題も起きています。
 
ビタミンB12は、肉や魚介類、卵、乳類などの動物性食品には多く含まれますが、原則として植物性食品には含まれません。
植物性でも例外的に、納豆やみそなど発酵食品、のりなどの海藻に含まれます。
 
ビタミンB12は腸で吸収されます。
しかし、その前に胃の内因子と結合することで吸収される状態を作っているため、胃を切除している人などの場合は、胃の内因子なしで吸収されるために大量のビタミンB12を補給する必要があります。
胃の粘膜が萎縮している人や、胃の働きが弱い人も同様です。
 
水溶性ビタミンであるビタミンB12は、最終的には排泄されますが、それまでの間、体内でさまざまな働きをします。
ビタミンB12場合、とくに1000マイクログラム以上の大量をとると、一種の押し込み効果(ある成分を大量にとることにより、吸収率が増す効果)により、吸収・利用率が高まります。
また、ビタミンB12は大量かつ配合によって効果的に働きます。
 
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を正常に働かせるために必要な栄養素です。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると、神経過敏などの症状が起こりやすくなります。
また、脳や神経と関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
 
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。

 イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。

 それらの成分が不足する背景には、朝食を抜くといった欠食や、栄養のバランスの悪さなどが考えられます。
忙しいからと食事をぬいていないか、好きなものばかり食べて偏食をしていないかなど、自分の日頃の食生活をふり返り、食事リズムと栄養バランスを改善していくことが大事です。
また、人間の体質改善は約3ヶ月程度が基準となっているため、続けなければ効果が得られません。
 
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