喜びもやる気も腸からやってくる

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喜びもやる気も腸からやってくる
 
アンチエイジング医学の中で、現在もっともホットな話題の一つであるのが、「腸内環境」です。
腸は最大の消化器官であるだけでなく、病気や炎症とたたかう「免疫力」をつかさどる臓器です。
 
さらに、腸は「第二の脳」といわれるくらい多くの神経細胞が分布し、私たちの気分や精神状態にまで影響をもたらしている、ということがわかっていました。
 
慢性的に腸の調子が悪い人は、メンタルにおいても不安を抱えることが多い、ということは経験的に知られていました。
また、下痢や便秘、お腹の張りなどの症状が起こる過敏性腸症候群の人の8割が、不安とうつに悩まされます。
その詳細を調べた研究があります。
 
健康な女性のグループ12人に1日28回、4週間にわたって善玉菌を含むプロバイオティクス飲料を飲んでもらい、別の女性グループには牛乳を同じように飲んでもらいました。
実験の前後に、恐れや怒りを感じている人の写真を見せながら脳スキャンを行なったところ、プロバイオティクスを摂取したグループは、恐れを感じる顔に対しての反応が減少した、つまり脳ストレスに対して強くなってきた、という結論が導かれました。
 
精神の安定をつかさどる神経伝達物質セロトニン」の95%は腸内細菌によってつくられる、また、腸では脳と同じ程度、およそ40種類の神経伝達物質が合成されている、など、感情は腸から生み出されているのではないかと思えるほど。
 
わが国でも、ふるくから「あの人は腹がすわっている」「腹をくくる」といった表現があります。
また、英語で「消化管」を意味する「gut」は、「勇気・根性」まさに、“ガッツ”を意味するのは興味深いことです。
 
腸は第二の脳。セロトニンのほとんどは腸内細菌がつくる。
腸が不調になると、うつにつながる!
「若いと言われる人があたりまえにやっている16の老けない習慣 より」
 
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 脳の機能にとって神経伝達物質がきわめて重要な存在です。
ドーパミン、GABA、セロトニンがよく知られていますが、アセチルコリンも重要な役割をもつ神経伝達物質のひとつです。
 
記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
 
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
 
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
 
レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
 
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
なお、レシチンアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。
ビタミンB12は細胞の生成に重要な核酸たんぱく質、認知機能と関係が深い栄養素です。
 
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