
カルシウムの摂取でイライラは改善しない
飽食の時代を生きている現代日本人にも、足りない栄養素はあります。
そのひとつが必須ミネラルであるカルシウムです。
同時に、成人の1日当たりの平均摂取量は490mgに留まっています。
カルシウムは骨や歯の原料となります。
骨がスカスカになって骨折しやすくなる「骨粗しょう症」を予防するためには、食事からのカルシウムの摂取が求められます。
日本人にはカルシウムが足りないという情報は広く知られています。
そのためか、ストレスフルな日々を過ごす人の中には、「イライラしているのは、カルシウム不足のせい。カルシウムをとればイライラも解消される」と信じている人も少なくないようです。
しかし、これは医学や生理学の世界にもよくある都市伝説の類です。
イライラしているのは、自律神経が疲れているサインです。
カルシウムでイライラが収まるなら、自律神経の疲れも収まるはずですが、実際はそうではありません。
カルシウムは骨や歯の原料となる以外にも、筋肉の収縮や神経の情報伝達に関わるため、筋肉内や体液に溶けています。
カルシウムが神経の伝達物質に欠かせないことから、カルシウム不足が神経の機能に悪い影響を与えて、それがイライラをまねいているという連想が働いているのでしょう。
筋肉の収縮や神経の伝達物質を担うために筋肉内や体液に溶けているカルシウムは、全体のわずか1%で、残りの99%は骨と歯を作っています。
中でも骨はカルシウムの貯蔵庫のようなものです。
筋肉内や体液のカルシウムが少しでも不足すると、ホルモンの働きで骨から溶け出したカルシウムがすぐさま応援に向かいます。
カルシウムの総量は体重の2%ほどであり、体重70kgなら1.4kg。
筋肉内や体液のカルシウムはその約1%ですから、およそ14gになります。
骨からわずかなカルシウムが応援に回れば、筋肉内や体液のカルシウム不足は解消するため、カルシウムの不足でイライラが起こるとは考えにくいのです。
カルシウム不足によるイライラは心配無用です。
カルシウム不足を補うために牛乳を飲んでいる人もいます。
たしかに牛乳は、コップ1杯(200ml)で227mgのカルシウムを含む食品です。
寝る前にホットミルク(温めた牛乳)を飲むとイライラが収まって落ち着くという説もありますが、これは牛乳に含まれているカルシウムの効能ではありません。
温かい飲み物が胃腸に入り、副交感神経が優位になるからです。
ホットミルクで落ち着ける人は、白湯でも落ち着くことができるはずです。
イライラとは無関係でも、骨粗しょう症を防ぐために、カルシウムを含む牛乳、乳製品、小魚などはとるべきです。
その際に意識したいのは、マグネシウムとのバランスです。
カルシウムが体内で正常に働くには、カルシウムとマグネシウムが2:1の割合で存在するのが理想です。
動脈硬化とは、心臓から血液を運んでいる動脈の柔軟性が下がり、内腔が狭くなって血の固まりがつまりやすくなっている状態です。
カルシウム摂取を増やすときには、これらの食品からマグネシウムも多めにとり入れるようにしてください。
「すべての疲労は脳が原因2 より」
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この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
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