精神疾患とも関係している「ビタミンD」
ビタミンDは、最近注目されている栄養素の1つです。
ビタミンDはこれまで、カルシウムや骨の代謝に不可欠な栄養素としてはよく知られていましたが、近年、それ以外にも多くの効用があることがさまざまな研究によって明らかになっています。
その1つに、ビタミンDと精神疾患の深いかかわりがあります。
よく知られているのが、うつとの関連、なかでも冬季うつなどの季節性情動障害です。
日照時間が少なくなる冬に、うつ症状が増えてくるのです。
冬季は、紫外線(UVH)が強くならないため、皮膚でビタミンDを合成することができないのです。
興味深いことに、日焼けサロンにいくと、抑うつ症状が治る人たちがいることがわかったため、冬季うつとビタミンDの関係が報告されるようになったのです。
例えば北欧では、冬の日照時間がとても短いことでよく知られていますが、北欧での自殺率の高さは、この日照時間がかかわっているといわれています。
クリニックでは、ほぼ全員の患者さんのビタミンD濃度を測定していますが、アメリカの学会が推奨する濃度に達している人は皆無です。
多くの患者さんのデータを見ると、日光浴とビタミンDを多く含む食材を食べるように食事に気をつけていても足りないため、サプリメントを使うことが多い。
昨今の美白ブームによって、日焼け止めクリームでしっかり肌を紫外線からガードしてしまうと、ビタミンDの合成に影響するし、ひいてはうつにもつながりかねません。
統合失調症の患者さんにも、ビタミンD欠乏が認められています。
また、統合失調症の環境リスク因子のうち、誕生した季節や緯度などが、ビタミンD欠乏症と関連づけられていることもわかっています。
さらに、ビタミンD不足とアルツハイマー病の関連も報告されていたり、パーキンソン病において、ビタミンDの投与によって筋力が増強し、転倒、骨折を抑制できたり、パーキンソン病の進行を遅らせたりする効果があるという報告もあります。
また実際の患者さんとのかかわりのなかで実感しているのが、アレルギー疾患との関連性です。
ビタミンDは小腸の粘膜を正常に保ち、免疫の過剰反応を抑える作用があります。
ビタミンDが欠乏することで、過剰な免疫反応が起こりやすくなるのです。
アレルギーのもととなる抗原が入ってくると、免疫細胞の1つであるT細胞が活性化されます。
T細胞が過剰に反応して暴走することでアレルギー反応が起きてくるわけですが、ビタミンDはその暴走を防ぐ、制御性T細胞を増やす働きがあるのです。
理想的な血中濃度を維持できるようになると、アレルギーだけではなく、多くの疾患の改善につながります。
ただ、現実的には食事でビタミンDを補うのは難しい。
サプリメントで確実に補っていく必要があるでしょう。
「「うつ」は食べ物が原因だった! より」
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寒暖の差、新しい生活パターンへの対応、とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?
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