頭も感情も使わないと急に老化する
久しぶりに参加した町内の運動会で、「最近運動していないから、すっかり体がなまってさ」「ちょっと走っただけですぐ息切れだよ」などという会話が交わされるのは、よくあることです。
実際、日ごろ体を動かしていないと心肺機能も弱くなり、筋肉も衰えて、ちょっと動いただけで運動不足を痛感させられます。
同様に、中年になってから「忘れっぽくなった」「人の名前がなかなか覚えられない」「頭に浮かんでも言葉にしようとすると出てこない」などと、記憶力の衰えを嘆く声も多く、これらの兆候が老化を感じる一つの目安にもなっているようです。
ところが、
「最近どうも感情が老け込んでね、調子が出ないよ」
「この年齢になれば感情が老化するのも仕方ないね」
などという話を聞いたことはまずないでしょう。
私たちには喜怒哀楽があり、その時の感情によって体調や行動にも大きな影響があるのに、その感受性が衰えたり、年とともに老化することに対しては、かなり鈍感です。
それどころか、加齢とともに感情が老化するというと、
「えーっ、感情なんて老化しないでしょう。かえって怒りっぽくなる人もいるくらいだから、むしろ年を取って感情的になるくらいじゃない?」
「昔から年を取ると涙もろくなるというし、年を取ったほうが感情は豊になるんじゃないかしら」
「うちのおばあちゃんなんか、すぐに怒ったり泣いたり、すごく気性が激しいのよ。とても感情が老化したり衰えるなんて思えない」
といった感想です。
しかし、感情の起伏が激しくなるのは、老化によって感情のコントロールがきかなくなるからです。
と同時に感情の波が平坦になるのも老化の特徴です。
これは、脳が長年続けてきた生活習慣や思考パターンに慣れて、低刺激・低感動の状態に満足してしまっているからです。
感情が若いうちは少しの刺激ですぐに反応したり、ときめきを感じたりするものですが、感情が老化すると反応が遅くなり、それも感じにくくなります。
感情の感度が鈍くなって、気持ちが弾まなくなるのも感情の老化の大きな特徴です。
「感情は使わないと老化する」というのは、気持ちを弾ませないと心はどんどん弾力を失って、伸びきったゴムのように退化してしまうという意味です。
何を聞いても何を見ても、なかなか関心が湧いてこないのは、感情が老化している何よりの証拠です。
放っておくと、感情老化は急速に進んでしまいますから、できるだけ早くストップをかけなくてはいけません。
40歳代から始まる感情老化を食い止めるためには、萎縮し始めた前頭葉に「活」を入れ、脳を甘やかさないのが一番。
そのためには、マンネリ化した生活を見直し、積極的に驚きや感動と出会うのが早道です。
前頭葉をフルに働かせて、いつまでも若さをキープするための生活法を考えていきましょう。
「感情の老化を防ぐ本 より」
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?
http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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