こぼれてしまった悲しみを癒やしてくれる場所がある

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ぼれてしまった悲しみを癒やしてくれる場所がある

 

大切な人を弔うためにかかる時間や作法は、

人によって違います。

一般の儀礼ではすくい取れない死者への思いを、

恐山のような霊場が受け止め、包み込んでくれるのです。

 

私が院代を努める恐山は、青森県北部の下北半島にある日本屈指の霊場です。

イタコと死者供養で有名なこの山に、おどろおどろしいイメージを抱く方も多いかもしれません。

実際私も、1200年続くこの霊場を訪れるまでは、世間一般の知識しか持ち合わせていませんでした。

 

永平寺時代、初めて恐山を訪れたときは、その遠さと地形の特異さに驚きました。

遠くを見れば、大小の隆起を見せる岩場のあちこちから硫黄が噴き出し、ふと足元に目をやると、供養のための風車やお菓子が供えてある。

「この世の果て」という言葉は、確かに当たっていると感じたものです。

しかし、恐山を訪れた人から、「なんとなく、懐かしい感じがします」「想像と違って、なんだかとても落ち着きます」と言われることは少なくありません。

あるとき、境内を歩いていたら、お婆さんに声をかけられました。

「お寺にもちゃんとお墓があるのに、なぜこんな遠くまで来たくなるのでしょうね」

 

私が思うに、それは、恐山という霊場が大きな“器”のようなものだからです。

恐山には、決まった死者供養の儀礼や作法はありません。

そこにあるのは、広々とした空と、圧倒的な自然だけです。

訪れた方はそれぞれに死者を悼み、悲しみを置いていきます。

自分より先に旅立ってしまった人に、「会いたい」という気持ちを伝えに来ます。

いつの頃からか、境内にある宇曽利湖という湖の前で、参拝者が死者に呼びかける風習が生まれました。

60代の男性が湖に向かって、大きな声で「お母さーん」と呼んでいる。

そんな姿もめずらしくありません。

 

「大切な人を弔う」行為がいつ終わるのかは、人それぞれです。

葬儀を出して使者を見送った後、仏壇に手を合わせ、墓参りをする。

折に触れ、供養していく。

弔いの儀礼は各宗派で決まっていて、遺された者はその様式の中で死者への気持ちを収めていきます。

しかし、その中に収まらない気持ちがあるのです。

死者への思慕、後悔、やるせなさ……。

儀礼からこぼれてしまった気持ちの受け皿となるのが、恐山のような霊場です。

 

あるとき、宿坊に泊まっていた50代の夫婦が話しかけてこられました。

3年前にひとり息子を交通事故で亡くして以来、ふたりとも重度のうつ病をわずらい、ほとんど外出しなかったとのこと。

奥さんのほうが早く回復し、元気のない夫に「恐山でイタコさんに息子をおろしてもらおう」と声をかけたところ、夫も「それなら」とここまで来たとのことでした。

息子さんの事故は、婚約祝いの当日だったそうです。

お祝いの席に家族で出かけようと玄関を出たところ、暴走してきたトラックに目の前ではねられたと言います。

「なぜ死んでしまったのか……。イタコをとおして息子に聞きたいと夫は思い腰をあげたのです」

そう話す奥さんの横で、ご主人はただ黙って座っていました。

 

正直なところ、私は若干心配しました。

しかし翌日、下山前に立ち寄ってくれた夫婦に聞いてみると、イタコさんから「ありがたい言葉」を聞けたとのこと。

内容は一切話さなかったものの、ご主人の顔はあきらかに昨日と変わり、少しだけ明るさが戻ったようでホッとしました。

 

息子さんの「死の理由」を、イタコさんの口から聞いたとは思えません。

その死を受け入れることも、まだとうていできないでしょう。

しかしここを訪れ、納得するためのきっかけくらいはできたのかもしれないと私は思いました。

 

恐山が、こぼれ落ちてしまった死者への思いをすくい取る場所だと思うのは、このような方々と会ったときです。

「禅僧が教える心がラクになる生き方 より」

 

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新しい生活パターンへの対応、とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。

気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。

とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。

しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。

 

私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。

この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。

 

脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。

それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。

しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。

イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。

そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。

 

脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

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