世間が誤解している認知症

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世間が誤解している認知症

 

人生、長生きしていれば、だけでも経験するのが「老い」です。

 

ところが、その「老い」に対する準備ができていない人が、あまりにも多いことを、医師として多くの患者さんほか、さまざまな人たちと接してきて感じています。

 

認知症がどのような病気かということについても、本当のところは知られていません。

いつか自分や家族が経験することになるのに、「正しい知識」があまりにも伝わっていないと日々、感じています。

 

認知症には「中核症状」と、そこから派生する「周辺症状」があり、その進行の具合、起こり方は、本当に千差万別なのです。

 

反対に、周辺症状の中に含まれる「行動症状」と「心理症状」についても知識も、多くの人が誤解しているか、ほとんど知られていません。

 

この誤解が、みなさんが認知症への正しい「予防と対策」をするためのハードルとなっていると感じます。

 

だれもが「問題行動」をするわけではない

 

認知症になったら、多くの人が徘徊するのだろう」という誤解があります。

しかし、認知症になったら、みんなが徘徊し始めるわけではありません。

 

単純な確率論でいえば、1億3000万人に人口中の約500万人が認知症ということですから、街を歩いている人の4%くらいが認知症であってもおかしくありません。

東京・渋谷の「スクランブル交差点」で、一斉に道路を渡っている人々の中にも認知症の人がいることになるはずです。

 

けれども、スクランブル交差点を渡る人たちが300人程度いるとして、その中に認知症の人は10人くらいいることになりますが、実際には徘徊している人はまずいません。

これが認知症に対する誤解の一つだと思います。

 

認知症の症状としては、基本的に脳の老化による現象が進むので、「徘徊する」というより、反対におとなしくなって、外出しなくなる人のほうが多くなるのが特徴です。

本当は、どんどん外出して足腰が衰えないようにした方がいいのですが、おとなしくなって家の中にこもりぎみになってしまう方が、はるかに問題なのです。

 

個人差はありますが、認知症を発症すると、ほぼ確実に起こってくる症状が「中核症状」と呼ばれる症状で、そこから、いろいろな環境、元の性格、条件によって、「周辺症状」が起こります。

 

この周辺症状の中に、問題行動として、「行動症状」の徘徊、暴言などや、「心理症状」の不安・焦燥、幻覚、妄想などが含まれます。

ただし、これらの症状は、必ず起こるわけではありません。

 

まず、最初の誤解が、「認知症は突然起こる」のではなく、その進行には時間がかかるということですが、次の誤解である「だれもが問題行動をする」わけではないことも、しっかり理解しておきましょう。

 

徘徊といった問題行動は、起こる人と起こらない人がいる、周辺症状の一つに過ぎないのです。

 

<中核症状>

・失行

 服の着方がわからない

 道具が使えない

・失認

 物がわからない

・失語

物や人の名前がわからない

・記憶障害

 最近の出来事を忘れる

・実行機能障害

 段取りや計画が立てられない

 

<周辺症状>

  • 心理症状

 抑うつ、不安・焦燥、妄想、幻覚

  • 行動症状

 睡眠障害、食行動異常、徘徊、介護抵抗、暴力・暴言

 

認知症で確実に起こるのは「中核症状」。「周辺症状」は症状の進み方や環境、性格、感情の老化度合によって複数起こったり、まったく起こらなかったりと個人差が大きい

「「脳が老化」する前に知っておきたいこと より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。

この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。

ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

 

ビタミンB12について?

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