朝食は免疫バランスを整える「最強ツール」である
朝食のことを「朝餉(あさげ)」ともいいます。
この言葉は、もともとは平安時代に天皇が食べていらした略式の朝食のことを意味しました。
昔の日本人は天皇から一般庶民まで、朝夕二食の食事が一般的だったようです。
鎌倉時代以降、次第に昼食も加わるようになり、一日三食という今のスタイルが徐々に定着。
さらに、江戸時代になって一般庶民の間でも米食が広く普及するようになると、朝食のスタイルには地方色が強く出るようになりました。
たとえば、江戸では朝食で炊き立てのご飯をいただき、夕食には冷えたご飯を湯漬けや茶漬けにして食すのが一般的だったといいます。
一方、京都や大阪などでは米を炊くのは夕食時で、翌朝はその残りを粥にして食べていたようです。
今のようにスイッチひとつで電気釜やガス釜でお米が炊ける時代とはちがって、昔の人は朝食を準備するのも大変だったことでしょう。
しかし、現代のように調理器具の発達で朝食づくりが簡単になったにもかかわらず、朝食抜きで済ませてしまう人が多いのは非常に嘆かわしいことです。
「朝は忙しいし、起きてすぐは食欲がないから朝食はいらない」
そういう方は、自律神経のバランスが崩れている可能性があります。
人間の身体は日中に交感神経が優位になっていて、夜になると副交感神経が優位になるようにスイッチが切り替わります。
この切り替えがうまくできずに、夜の間にきちんと副交感神経優位になっていないと、朝起きても食欲がわかないのです。
ここでちょっと、次の場面を想像してみてください。
たとえば、目の前にライオンがいて今にも襲いかかってきそうです。
すぐにでも逃げなければならず、極限状態の緊張を強いられています。
そんなときに、あなたは「おなかが空く」でしょうか。
食欲に気を取られていると、素早いライオンに一瞬にしてやられてしまいます。
夜の間にしっかりと副交感神経優位のリラックスした状態になっていないということは、睡眠中も緊張が解けないことを意味します。
夜もずっと緊張して闘っているような状態です。
すると朝起きたときにもしっかりと副交感神経優位の状態に切り替わっておらず、朝の食欲は生まれません。
だから、朝、食欲がないということは、夜しっかり休めていないということでもあるのです。
朝の食欲低下は決して見過ごしてはいけません。
朝食には一日の状態を左右する重要な働きがあるからです。
朝食を摂ることで身体はしっかり目覚めて、夜の間に下がっていた体温が徐々に上昇し、交感神経へとうまくスイッチを切り替えることができます。
ところが、朝食を抜いてしまうと、身体はしっかりと目覚めることができないので交感神経との切り替えがうまくできません。
ただでさえ副交感神経優位の「リラックス状態」になりきれていないうえに、交感神経にしっかりと切り替えることもできない――朝食抜きの人に限って、午前中ずっとボーっとしているのはそのためです。
朝食には自律神経のスイッチを切り替えるだけではなく、排便のリズムを整えるという働きもあります。
朝食を摂ると、その刺激を受けて腸が目覚め活発に動きはじめます。
このように排便を促すことで便秘の予防にもなり、理想的な腸内環境を維持できるようになるのです。
私は朝食と排便を「朝の二大リラックスイベント」と呼んでいます。
この二つのイベントを習慣づけることで、自律神経や腸内環境のバランスをしっかりと保つことができるというわけです。
ボス細胞の活性化には自律神経のバランスがとれていること、そして善玉菌優位の腸内環境であることが欠かせません。
まさに朝食は一日の免疫バランスを整え、ボス細胞にとって理想的な体内環境にしてくれる最大のチャンスなのです。
朝食を摂らない人はみすみすそのチャンスを捨てているようなもので、とてももったいない話です。
起きたときにきちんと食欲がわくような状態にするためには、夜のうちに熱すぎない風呂に入り、高ぶった神経を鎮めて、頭をクールダウンさせておくことが重要です。
言ってみれば、これも身体のバランスを整える工夫であり、「一日の中で“逆のこと“をする方法」のひとつです。
そうやって副交感神経にスイッチを切り替えてから睡眠をとれば、翌朝はおなかがすいて目が覚めるはずです。
「免疫力をあなどるな! より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
自律神経を整えるためには生活リズムを作るとともに栄養面も非常に大切です。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
からだが疲れやすいのは、エネルギー不足のこともあり、からだにたまった老廃物がうまく代謝されないためでもあります。
ビタミンB群は、エネルギーの供給や老廃物の代謝にはたらいています。
いわば元気の素です。
ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
また、ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると、動脈硬化の原因として注目されているホモシステインが増えるといわれています。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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