第4章 人付き合いにお金を惜しまない

第4章 人付き合いにお金を惜しまない

 

人との「付き合い」「会話」には、

脳とりわけ前頭葉を刺激し、活性化させ、

快感を覚えさせる効用がある。

脳のアンチエイジングには

人付き合いへの「投資」が欠かせない

 

現役時代は忘年会に歓送迎会、その勤め帰りに一杯、上司に誘われたり同僚とウサを晴らしたり……望む望まないにかかわらず「これも仕事のうち」、何かと人付き合いは欠かせません。

一方で時間にも小遣いにも限りがあればその分、友人との付き合いは疎遠になりがちで、いよいよリタイアを迎えると職場絡みの付き合いもなくなり、人と一献傾ける機会もほとんどなくなってしまう人も多いと思います。

 

しかし、現役時代のみならずリタイア後にも、いや、リタイア後であればなおさらのこと、「人付き合い」には惜しみなくお金を遣うべきなのです。

なぜなら――。

 

 

その理由を挙げるときりがないくらいですが、まず、人と会話すること自体が脳へ、とりわけ前頭葉への刺激になります。

会話から新たな知識や情報を得たり、あるいはその場の話題づくりのためにネタ探しをしたり記憶を引き出したり、あるいは相手の気持ちや考えを推し量ったりと、前頭葉はフル回転です。

そして人と飲食をともにすることで感情が浮きたち、気持ちも若返ります。

気心知れた相手ならなおさら、脳は快感に包まれます。

 

何にお金をかけるかそれぞれ人の価値観に関わることですが、脳のアンチエイジングを目指すなら、人付き合いへの「投資」は必須と心得ましょう。

 

 

「行動が心を変える」と考える

 

芸事をきわめるにも、まずは「型」から。

アンチエイジングも、自らの行動パターンから。

何より、「行動そのもの」が

心の若さを保つことにつながる

 

「芸事をきわめるにはまず『型』から入るのが良い」とは古来いわれているところですが、現代心理学でも、人間の心のあり様は「内側からわき出るもの」というかつての考え方から、心は「外側から規定されてくる」という考え方にシフトされてきています。

 

それに伴い、精神分析により心の奥底を探って原因を究明する療法ではなく、「行動を変えれば心も変わってくる」という行動療法が心の治療のトレンドになってきています。

つまり「行動が心を規定する」ということです。

「心の若さ」を保ちたいなら、ふるまいや身なり、言動、生活習慣を含めた行動パターンから変えていかねばなりません。

「自らの行動で心を若くする」のです。

 

といっても、若い頃のようにハードなスポーツに挑戦したり、服装も思いきり若づくりしたり……ということではありません。

そんな無理をしても、「結局若い頃のようにはいかない」と落ち込み、かえって気持ちが老け込むことになります。

 

「心を若くする」行動といっても具体的には様々ですが、ここで最も大切なのは、何にせよ「とにかく行動そのものを起こす」ことです。

その結果、自身のふるまいや身なり、そして生活のなかに生まれる「張り合い」「メリハリ」が心を若くしていくのです。

「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」

 

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物忘れとは、脳は、体の機能全般をコントロールしている司令塔ですが、加齢とともにその働きは衰え物忘れの症状が出てきます。

脳血管の動脈硬化を放っておくと、血液循環が悪くなって脳細胞の動きが低下し、記憶力や思考力などが鈍り物忘れがはじまります。

40歳を越えた頃から「ど忘れや物忘れが激しくなった」「人の名前がなかなか思い出せなくなった」などと物忘れを感じるようになるのは、脳機能低下のあらわれです。

脳の神経細胞は約140億個といわれ、25歳を過ぎると1日に10~20万個ずつ死滅していきます。

死滅した神経細胞は再生されず物忘れもひどくなります。

しかし、死滅した神経細胞は元に戻らなくとも、神経の通り、すなわちネットワークをよくすれば、低下した機能を補い、さらには高めることができ物忘れも改善されます。

 

物忘れに関する神経伝達物質の中で記憶と学習にかかわっているのはアセチルコリンで、このアセチルコリンはコリンと酵素を原料にしてつくられています。

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

なお、レシチンアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。

アルツハイマー認知症の患者の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。

ビタミンB12は、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。

加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。

さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/