第4章 日常の行動・習慣から「脳の若さ」を保つ

第4章 日常の行動・習慣から「脳の若さ」を保つ

 

いつもとほんの少し違うことをしてみる

 

日常当たり前になっていることをほんの少し変えてみる。

普段なら、以前なら、やってみようとも

思わなかったことをちょっとやってみる。

それだけでも前頭葉の喜ぶ「想定外」と出会うチャンスが

 

いつもの通勤路でも、最寄りの駅より一駅前で降りてみる。

毎日昼休みに通う喫茶店を別の喫茶店に変えてみる。

歩き慣れた散歩ルートから外れて、ちょっとどこかに寄り道してみる――こんな何気ない小さな変化を日常のなかに投じるだけでも、「想定外」に出会う確率は、そうしないときの何十倍にもなります。

 

また、特にリタイア後の方々に「ボケ防止」としてお勧めしているのですが、学生時代の友人たちとイベントを企画してその幹事を引き受けてみましょう。

自らイニシアチブをとって何かをやり遂げるという一連の体験のなかには、面白いくらいに「想定外」があります。

ここで前頭葉は全開モードになります。

 

久しぶりにとる仲間への連絡ひとつとっても、それぞれの意外な状況の変化を垣間見て驚いたり、スケジュールを立てたり交通機関や宿泊の手配をしたりするなかでは、「まさかそんなことはないと思っていたのに」という事柄や出来事は何かしらあるもの。

これまでそんなことを経験したことのない人であればなおさら、見るもの聞くもの、意外なことばかりのはずです。

 

「ちょっと○○してみよう」――そんな心持ちだけでも、脳の老化を防ぐことができるのです。

 

 

おしゃれを楽しむ

 

ぽっこりお腹になって、髪も薄くなってきた。

だから、「もう、おしゃれする歳でもない」

――そう思ったら、ぜひ思い出してみたいこと

 

中高年になって20代、30代のときのような引き締まった体を維持できなくなるにつれて、「おしゃれ」への関心が薄れていくのは、男女共通にみられる傾向です。

 

ファッショナブルな服装は「どうせ似合わない」「服が浮きそう」と敬遠し、判を押したように毎日同じような服装でスタイリングなど何も考えずに「そこにあるものを着る」。

 

さすがに「シャツにステテコ」姿は見られなくなりましたが、スウェットやジャージ姿で犬の散歩、というお父さん。

自分の背丈を超えて成長した娘さんの「おさがり」とおぼしきTシャツとジーンズにエプロンをかけたまま買い物をしている、お母さん。

 

 

でも、そんなお父さん、お母さんにもかつては、自分なりのファッションへのこだわりがあったはずです。

「明日のデートには、どんな服を着ていこう?」「今日はちょっとおしゃれをしてショッピングを楽しもう」と、ワクワク、ドキドキしながら鏡の前で、服をとっかえひっかえしていた時代もあったのではないでしょうか

「もう、おしゃれをする歳でもない」――そう思ったときこそ、そんな時代のときめきを思い出してみてください。

そのときめきを思い出せるかどうか。

そこにも、これから老化の一途をたどるのか老化防止への扉が開けるのかの、カギがあります。

「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」

 

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物忘れとは、脳は、体の機能全般をコントロールしている司令塔ですが、加齢とともにその働きは衰え物忘れの症状が出てきます。

脳血管の動脈硬化を放っておくと、血液循環が悪くなって脳細胞の動きが低下し、記憶力や思考力などが鈍り物忘れがはじまります。

40歳を越えた頃から「ど忘れや物忘れが激しくなった」「人の名前がなかなか思い出せなくなった」などと物忘れを感じるようになるのは、脳機能低下のあらわれです。

脳の神経細胞は約140億個といわれ、25歳を過ぎると1日に10~20万個ずつ死滅していきます。

死滅した神経細胞は再生されず物忘れもひどくなります。

しかし、死滅した神経細胞は元に戻らなくとも、神経の通り、すなわちネットワークをよくすれば、低下した機能を補い、さらには高めることができ物忘れも改善されます。

 

物忘れに関する神経伝達物質の中で記憶と学習にかかわっているのはアセチルコリンで、このアセチルコリンはコリンと酵素を原料にしてつくられています。

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

なお、レシチンアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。

アルツハイマー認知症の患者の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。

ビタミンB12は、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。

加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。

さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/