第5章 変節は立派だが付和雷同はみっともない

第5章 変節は立派だが付和雷同はみっともない

 

自分の信念や考え方を変えると「変節だ」と批判されますが、時代が変わったら変節するのは当たり前だと思っています。

 

何にしても、うまくいかなければ、作戦を変えるのは当然のことです。

自分の信念であれ、絶対にこれだと思ったやり方や考え方であれ、うまくいかなかったら変えてみるというのは、何も悪いことではありません

 

ただ、ここで強調したいのは、変節と付和雷同は違うということです。

 

変節は自分の説をもっていて、そこから別の説に乗り換えることですが、付和雷同は他人の説に同調することなので、そこに自分の信念はありません。

「言うことが変わる」という意味においてはどちらも同じですが、AがブームのときにはAと言い、その後、BのブームがくればBと言うのが付和雷同です。

 

高齢者が変節するのは、まったく悪いことではありません。

 

「昔は収入格差があったほうが社会全体の生産性は上がると思っていたけれど、格差が広がってみると、ろくなもんじゃないことに気づいた」

「あの国は親日でいい国だと思っていたけど、今はひどい国だと思う」

 

というふうに、考えが変わることがあってもいいと思います。

 

変節といわれることを恐れる必要はないし、むしろ考え方を頑なに変えない高齢者は、頑固老人以外の何ものでもありません

 

「前はそう思っていたけど、長く生きているうちに、やっぱりそれは違うと気づいたんだよ」

 

と言える清々しさは、とても魅力的だと思います。

 

しかし、歳をとっても付和雷同している人を見ると、失望を禁じえません。

「あなたがた『長老』は、そんな人たちではなかったはずではありませんか?」と問いたくなります。

 

たとえば、コロナ騒ぎのなかで、「昔は結核でもっとたくさんの人が亡くなっていたけど、店を開けたらいけないとか、人と一緒に食事をしたらいけないなんてことはなかったようだけどね」と、さらっといえる老人がいたらすてきだと思います。

 

もっとも、戦前・戦後のあのころと、いまの時代の社会事情は大きく異なりますので、単純な比較は難しいわけですが、それでもその時代を経験している人が言うからこその重みを感じます。

 

「周りが言っていること=正しいこと」ではありません。

 

真理は多数決で決まるものではなく、本来は実験や研究によって答えを求める必要があります。

自分ではそれができないとしても、せめて統計数字に当たるくらいのことはしておきたいものです。

 

高齢者はインターネットができない、スマートフォンが使えないとよくいわれますが、いざ始めてみれば意外なほどスムーズに使えるものです。

高齢者がガラケースマホに替えるとうまく使えないことがあるのは、使う能力がないからではなく、普通に電話をかけるかぎりにおいては、事実としてスマホのほうが使いにくいからでしょう。

 

でも、彼らのなかにも、パソコンを使いこなせる人はたくさんいます。

そのほうが深い情報も得られます。

変節できる高齢者は立派だと思いますが、高齢になって、若い人やメディアが騒いでいるからといって付和雷同するというのは、どうもみっともないと思います。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。

しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。

このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。

これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。

 

ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。

新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。

この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。

しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。

このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。

 

ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。

このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。

高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。

その中でも重要なものがビタミンB12なのです。

脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。

 

ビタミンB12について?

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