エピソード記憶と手続き記憶

f:id:endokoro728:20200128210220j:plain

エピソード記憶と手続き記憶

 

てんかん治療のため海馬の一部を切除されたH・Mさんは、新たな記憶を作れなくなっただけでなく、少し前の記憶まで喪失してしまいましたが、言葉を発することは忘れておらず、さらに身体を使っておこなう運動や作業は練習によって技能を向上させることができました。

このことは、日常の出来事の記憶である「エピソード記憶」の他に、自転車に乗ることや楽器を演奏することなどのように、繰り返し練習することによって身につく「手続き記憶」というものがあることを示しています。

エピソード記憶が作られるのは海馬ですが、この手続き記憶は小脳のプルキンエ細胞を含むネットワークによって作られます。

 

繰り返し練習することにより技能が向上するメカニズムは次のように考えられています。

身体を動かすための運動神経は、大脳から出たあと枝分かれして小脳にもシグナルのコピーを伝えるようになっています。

小脳には、身体の状態についての感覚情報も届くので、小脳は両者を比較して、指令と実際の動きのあいだにどれだけズレがあるかを知ります。

それが繰り返されるうちに、指令から大きくズレる動きを起こす運動神経のシグナルは小脳のところでブロックされて伝わらなくなるのです。

こうして、思い描いたとおりの滑らかな動きができるようになります。

このブロックが長期にわたって持続することが「手続き記憶」なのです。

高齢者が、認知症になって兄弟の顔を忘れてしまっても、自動車の運転を忘れないというのは記憶が残る部位が異なるからです。

 

小脳の神経細胞に異常が起こると、歩くときにふらつく、手が震える、しゃべるときに舌がもつれるなど、身体を思うように動かすことができなくなる運動失調が起こり、これを脊髄小脳変性症といいます。

認知症の患者が日本全国で460万人以上(2012年、厚生労働省調べ)いるのに対し脊髄小脳変性症の患者は3万人ほどです。

このことから、小脳プルキンエ細胞より海馬神経細胞の方が脆弱で、老化に伴って機能異常を起こしやすいことが分かります。

「老化と脳科学 より」

 

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+

 

脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。

しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。

このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。

これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。

ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。

新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。

この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。

しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。

このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。

 

ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。

このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。

高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。

その中でも重要なものがビタミンB12なのです。

 

ビタミンB12について?

http://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html

http://www.endokoro.com/

※ちょっと使える身近な情報をお届けしています!

https://www.facebook.com/endokorob12