第1章 午前・午後・夕方以降と定期的に水分補給
第1章 午前・午後・夕方以降と定期的に水分補給
運動して汗をかいていなくても、私たちは皮膚や呼気などからつねに水分を失っています。
これを「不感蒸泄」といいますが、その量は「1日900ml」にも達します。
何もしなくてもこれほどの水分を失っているのですから、定期的に水分補給をしないと、脱水を起こして血液がドロドロになり、血液循環を妨げる一因となります。
空調がきいて乾燥している室内に長くとどまっていると、さらに不感蒸泄は起こりやすい傾向があります。
のどが渇いたと気づいたときには、すでに脱水は始まっています。
ですから、座りっ放しを避けて立ち上がったら、のどが渇いていなくても、ついでにコップ1杯程度の水分をとるようにするといいでしょう。
私たちの体重の60%前後は水分です。
体重の3%以上の水分が失われている状態を「脱水症」、その一歩手前で体重の1~2%の水分が失われている状態を「隠れ脱水」といいます。
高温多湿で汗をかきやすい夏場だけではなく、空気が乾燥する冬場でも脱水症や隠れ脱水を起こしやすいので気をつけなくてはいけません。
高齢になると、脱水を起こしてしばらくたっているのに、のどの渇きを覚えないことがあります。
のどの渇きを感知するのは、のどの奥にある「口渇中枢」という場所なのですが、加齢により口渇中枢の働きが落ちやすくなるため、のどの渇きを感じにくいのです。
食欲が落ちて、食事量が減るのも、高齢者が脱水を起こしやすい一因です。
私たちは1日に2.5リットルほどの水分をとっていますが、そのうち1.0リットル前後は食事からとっているのです。
汁物はもちろん、野菜や果物の80~90%は水分ですし、ごはんやうどんなども60~70%は水分です。
食事量が減ると、体内に入る水分量も減りがちなのです。
また、高齢者は頻尿になりやすく、夜中にトイレに起きたくないという理由で意図的に水分の摂取を控えることがあります。
これも脱水の誘因となります。
脳の血流を活発にするためにも、意識的に水分補給をしたほうがいいです。
私自身、水分補給はとても多いほうです。
もともと少食だったのですが、年をとるとともに食事量が減り、食事から得られる水分も減っています。
それを補うため、意識的に水分補給を増やしているのです。
加齢にともなう「前立腺肥大」があり、以前よりも膀胱に尿をためにくくなっています。
水分補給を増やすと、トイレに行く回数が多少増えますが、それでも水分補給を優先しています。
朝起きて口をゆすいだらまず水を飲み、午前中だけで500ml入りのペットボトル1本を空にします。
その調子で午後も1本、夕方以降も1本を空にしています。
それだけで1日合計1.5リットルの水分をとっていることになります。
午前・午後・夕方以降と、時間帯をざっくりと区切り、摂取する水分量の目安を決めてみるのもいいでしょう。
就寝前にもコップ1杯の水を飲んでいます。
寝ている間の不感蒸泄による脱水を防ぐためです。
夜中に1回はトイレに起きますが、それは想定内です。
認知症予防にコーヒーや緑茶が有効だという報告があります。
しかし、コーヒーも緑茶も、水分補給には向いていません。
どちらもカフェインを含んでおり、利尿作用があるからです。
コーヒーや緑茶で水分補給すると、尿の量が増えて、逆に脱水に陥ることも考えられます。
感染症などによる発汗、下痢や嘔吐などがあり、大量の水分を一度に失った場合には、ミネラルウォーターなどの真水ではなく、経口補水液や薄めたスポーツドリンクを飲むようにしてください。
発汗、下痢、嘔吐などで失う体液には、水分だけではなく、「ナトリウム」や「カリウム」といった電解質が含まれています。
それなのに水分だけ補うと、体液が薄まってしまい、一時的にのどが潤ったとしても体内に水分が保てないのです。
経口補水液やスポーツドリンクなら、水分と同時に電解質が補えます。
必要なときにいつでも飲めるように、自宅に常備しておくと安心です。
※ポイント 「のどが渇いた」と感じる前に、定期的に水分補給をしましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB群は、体に入った栄養成分をエネルギーに変えるときに不可欠なビタミンの仲間です。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?