第2章 覚え方を工夫すれば、ヨボヨボ脳にならない!

第2章 覚え方を工夫すれば、ヨボヨボ脳にならない!

 

歳をとったらスタスタと歩けなくなる、階段の上り下りが覚束なくなる、少し早足で歩くと息が切れる、といった老化現象は日常の暮らしに寄り添うように起こってきます。

それはいわば「自然の摂理」であり、ある程度は避けられません。

しかし、機能低下のスピードを遅らせることは十分に可能です。

 

端的にいえば、足腰を使わなければ歩行能力は比例するように減退し、究極的には歩行が不可能になり車椅子生活を余儀なくされます。

しかし、散歩などの適度な運動を継続すれば、かなりの高齢まで歩くことは難しくありません。

 

脳も同じことで「覚えよう」「使おう」という意欲がなくなれば、記憶陸は減少の一途をたどります。

 

知人のお母さんは95歳の現在も元気で、とくに頭脳の明確さには周囲も驚くほどだといいます。

かかりつけ医によって差があるのかもしれませんが、このお母さんは90歳を過ぎたくらいから、かかりつけの病院で定期的な心臓の検査を受ける際に認知症テストを受けていたそうです。

 

その中の記憶力テストでは毎回、同じような内容が含まれていました。

そのひとつは5つの単語(たとえば自転車、りんご、はさみ、シャツ、フライパンといった具合)を覚えさせ、その後、いくつかのテストを実施したあとで、その5つの単語を答えさせる形式でした。

 

件のお母さんは、とくにこのテストが得意のようで5つの単語をいつもスラスラと答えていたそうです。

知人がその秘訣を尋ねたところ、お母さんは「覚えようと思えば5つくらい簡単でしょう」とこともなさげに、いったそうです。

 

 

記憶力をアップさせれば脳は若返る

 

しかも、お母さんは覚え方(記憶力のつけ方)も新聞か雑誌で学んでいました。

 

それは記憶するものと映像を結びつけるという、まるで脳科学者が推奨するような方法。

それを聞いた知人は自分の親ながら感心したそうです。

 

 

1番 柴田(自転車に乗る柴田選手の姿)

2番 土井(りんごを食べる土井選手の姿)

3番 王(はさみを使う王選手の姿)

4番 長嶋(シャツを振り回す長嶋選手の姿)

5番 末次(フライパンを使う末次選手の姿)

 

 

年齢が年齢だけに、V9時代の巨人のメンバーですが、これで1番から順番に自転車、りんご、はさみ、シャツ、フライパンと覚えたそうです。

それで1番の自転車から順に5番までスラスラと答えられたのです。

 

覚え方の方法はともあれ、重要なのは覚えようという意欲です。

ヨボヨボ脳を招く最大の「負の要素」は、意欲を失うことであって、記憶力が低下することではありません。

 

高齢者が新たにものを覚えるためには、ある程度のメソッド習得とトレーニングが必要です。

若いころならば、たとえば単語帳を作る、マーカーペンを使う、などの工夫をして「覚える力」を磨いたはずです。

歳をとって、メソッドの習得やトレーニングを怠れば、記憶力低下は防ぐことはできません。

 

その努力を怠っていながら、認知症になることを恐れ「早めに検査を受けておこう」と思うのは、やや厳しくいえば滑稽でしかありません。

 

認知症になっても、できることはたくさんあります

初期のうちはほとんどの場合、日常生活に支障をきたすことはありません

仕事も続けられます

 

重要なのは周囲の対応方法です。

 

親に認知症の診断が下されると、子どもが急に態度を変え、なかにはふさぎ込んでしまう例も見られます。

これでは、認知症の当人は当惑するばかりです。

認知症対策は何よりも「進行を遅らせる」ための知恵を発揮することが不可欠なのです。

「いつまでもハツラツ脳の人 より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

 

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/