第2章 「助けてあげたい」と思われる人になるために

第2章 「助けてあげたい」と思われる人になるために

 

働いていようがいまいが、70代、80代にとっても、「何者でもない自分」を受け入れることは、思わぬ効用を生じさせます。

 

自分のキャリア、プライドをいたずらにアピールしようとしないスタンスですから、まわりの人々、とくに若い世代からは慕われます。

すると、人間関係において、どういう存在になるでしょうか。

 

 

・なにかあったら、力になってあげたい人

・わからないことがあれば、教えてあげたい人

 

 

知らず知らずのうちに、こういう存在になるのです。

 

「まだまだ、他人の厄介にはならない」

 

そんな気概の70代、80代の方もおられるでしょう。

そうした気概を持ち続けることは大いに結構なことですが、現実問題として、若いころに比べて、心身ともに劣化していくことは間違いありません。

 

劣化などというと、一部の70代、80代の方々からお叱りを頂戴しそうですが、これは紛れもない事実です。

とくに体力面の劣化は明らかです。

運動能力、視覚、聴覚などの劣化は誰もが実感することでしょう。

これは自然の老化現象です。

 

ですから、この老化現象によって、不可能になったり、困難になったりしたことに関しては、できることなら助けを借りることです。

 

とはいっても、日常生活において、いつも「助けて、助けて」とアピールするわけにはいきません。

まわりの人たちが、「困っていたら、手を貸してあげたい」と自発的に感じるような存在であることがいちばんです。

 

そのためには、常日頃から、まわりの人たちとフレンドリーな関係を築いておくことが必要です。

人に対して威張る、感情的になる、横柄といったスタンスを慎まなければなりません。

 

その基本中の基本が「自分は何者でもない」というマインドです。

そのマインドを維持していれば、自然と表情に表れます。

人との接触を拒むような壁は生まれません。

 

そして、次に必要なのがコミュニケーション能力です。

朝夕の挨拶、ちょっとした雑談が日ごろから交わされていれば、イザというときの助けもスムーズに行われます。

教えを乞いたいときも同様です。

 

また、コミュニケーション能力を保持していれば、街中や旅行先で、助けを求めたいときにも、たとえ見ず知らずの人であっても、速やかに意思を伝え、窮地を脱することができます。

 

高齢者が「力になってあげたい人」「教えてあげたい人」でいるためには、コミュニケーション能力の維持が欠かせません

「いつまでもハツラツ脳の人 より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

 

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/