第2章 70代、80代、便利なものはなんでも使いこなす

第2章 70代、80代、便利なものはなんでも使いこなす

 

「長年、旧式の携帯電話つまりガラケーでじゅうぶん事足りていた私も、若い友人たちが次々とスマホに乗り換え、便利だと勧められるようになりました」(2022年9月22日付・朝日新聞)

 

こんな書き出しではじまる新聞の読者投稿記事に目が留まりました。

 

この方は、自分の年齢も気になり、どうするかと迷っていましたが、街頭で携帯販売ショップの店員に呼び止められ、そのままスマホの契約をしてしまいます。

「1週間ほどはなんだかややこしくて購入を後悔し、ガラケーを買い直そうかと……」(同)。

失敗したと感じましたが、しばらくして心境に変化が表れます。さ

 

「少しずつ理解できてくると、なんとこれは便利。家にあった百科事典を処分してしまったことを悔やんでいましたが…(中略)。スマホが何でも教えてくれます。いまでは私の毎日の生活のアドバイザーです」(同)

 

紹介が長くなってしまいましたが、この投稿者は、なんと92歳の女性です。

 

率直なところ、うれしくなってしまいました。

この方はある意味で、ハツラツ脳維持を見事に成功させたからです。

 

 

新しいことへの興味→トライ→後悔→トライ継続→検証→新発見・スキルアップ→感動

 

 

ここで述べていることを、この方はまさに体現しているからです

見ず知らずの方ですが、この後どんなトライをされるか、興味津々です。

 

 

覚えなければならないことがいっぱいある

 

2022年6月、堀江謙一さんは、ヨットでの単独無寄港太平洋横断を成功させました。

83歳での快挙です。

 

堀江さんは、1962年、23歳で単独無寄港太平洋横断を成功させています。

太平洋ひとりぼっち」(石原裕次郎主演)というタイトルで映画化もされました。

その後も、新しい素材、新しい動力といった時々の最新ヨットで、複数回に及ぶ世界横断、世界縦断などを成功させています。

まさに新しいことへのトライ一色の人生といえます。

 

その堀江さんが語っています。

 

「便利なものはいいじゃないですか。電化製品が新たに発売されたら使ってみたいと思う。このカメラ、高いですけどええなぁとか」(2022年9月22日付・日刊ゲンダイ)

 

父親が自動車部品関連の会社を営んでいたこともあって堀江さんは、もともと機械いじりが好きだったようですが、こうも語っています。

 

「新しいものは拒絶するのではなく、積極的に取り入れるタイプです」(同)

 

その言葉が物語るように、今回、堀江さんは航海に便利だという理由で、スマホをこれまでのアンドロイドからiPhoneに変えたり、Apple Watchを購入したりしたそうです。

また衛星電話の使い方も学習したそうです。

そしてこうも語っています。

 

「衛星電話やスマホを使いこなすには、覚えなければならないことが山ほどあるし、ボケてる場合じゃありません」(同)

 

命がけの航海ですから、危険を回避するためには体力を可能なかぎり効率的に使わなければなりませんから、より新しく、そしてより便利なものが役立つことは間違いありません。

また、それを使いこなすには使い方を覚える必要がありますから、脳を休ませているヒマなどありません。

 

これは、堀江さんのようなトライばかりではなく、私たちのトライにもいえることです。

 

ことに身体に大きな負担をかけたくない高齢者の場合、便利なものを使いこなすことが、生活の質、快適さを高めてくれます

堀江さんの言葉通り、使い方を覚えるためにボケている場合ではないのです

 

超長寿時代の航海は長いのです。

「いつまでもハツラツ脳の人 より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

 

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/