第3章 歳をとれば、誰もが等しく認知症になる

第3章 歳をとれば、誰もが等しく認知症になる

 

85歳を過ぎた方のご遺体を解剖して見ると、ほとんどのご遺体にがんが見つかった――この事実にショックを感じる方が多いと思いますが、これは勤務していた高齢者専門病院で経験したことです。

 

本人はまったく自覚がないのに、体内にがんの病巣があることは決してめずらしいことではありません。

がん細胞がある程度の大きさになっていても、生活に大きな支障をきたすことがなく、ふだん通りに仕事をしているケースもあります。

 

がんの最大の原因は「加齢」であって、誰でも年齢を重ねればがんになることは当たり前のことなのです。

 

同じことが認知症にも当てはまります。

 

厚生労働省によると、65歳以上の認知症の人数は2020年で約600万人、約16%の割合です。

それが2025年には約700万人、65歳以上の人は5人に1人が認知症になると予測しています。

 

つまり認知症はがんと同じように、発症の最大の原因は、「歳をとること」にほかなりません。

それはデータにも明らかで、60代で発症はわずか1~2%ですが、加齢に比例して70代前半で3~4%、後半は8~10%に増加します。

80代になると一気に増え、前半は20%、後半は40%に達します。

90歳で60%、95歳は80%ですから、ほとんどの人が認知症になるといっても過言ではありません。

 

60歳を過ぎれば髪に白髪が混じり、シワが増えてきます

それと同じように、認知症は「加齢による当たり前の現象」であり、「老化現象」のひとつに過ぎないのです

 

 

認知症は「脳がちょっぴり不自由になる」だけのこと

 

認知症には次のように症状が多く表れます。

 

 

1.記憶障害 人の顔や名前が記憶できない。行動の目的を忘れる

2.見当識障害 時間や場所などの認知力の低下あるいは喪失

3.判断力障害 危険や善悪などを判断する力の低下

 

 

長年、多くの高齢者と接してきた中で感じるのは、認知症になるとなにもできなくなる、という世間の誤解です。

上記のようなさまざまな障害が発生するために、「誰にでも起こりうる病気」であるにもかかわらず、自分や家族が発病したら「なにもできなくなって怖い」という感情を持ってしまいます。

 

たしかに、認知症になれば、記憶力が低下し、当たり前にできたことの一部ができなくなります。

しかし、深刻な事態になるのは重症化してからで、発症してから5年くらいは、それ以前とほとんど人格的な変化は見られません。

知能に関しても目立った変化は見られず、多くの人は発症前と同じような生活を維持できます。

 

初期化の認知症はまったく怖がるような事態にはなりません

本人や周囲が極端に悲観することは、非常にもったいないことなのです

 

基本的に、ほとんどの認知症は、「脳が少し不自由になるだけ」と考えてください

「いつまでもハツラツ脳の人 より」

 

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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。

そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。

とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。

気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。

とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。

しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。

 

私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。

この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。

セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。

 

脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンアセチルコリンドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。

それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。

しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。

イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニンアセチルコリンドーパミンなどが不足していることが考えられます。

そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。

また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/