今日が一番若い。今日が新しい人生のはじまり
私がよくいう言葉に「今日が一番若い」というものがあります。
ひょっとしたら、あなたは「けっこう歳をとってしまったなあ」「自分も○歳になったから」と感じているかもしれませんが、5年後のあなたは確実に今のあなたを羨ましいと思っています。
考えてみれば、当然です。
5年前の自分を思い返してみてください。
当時に戻れるとしたら「あんなことしたい」「こんなこともやってみたい」と思うことがたくさんあるでしょう。
そんな「5年前の自分」が今です。
何かをはじめるなら、今以上のベストタイミングはありません。
この『はじめる習慣』には「今日が新しい人生のはじまり」、そんな思いを込めています。
今日が一番若い。
今日が新しい人生のはじまり。
ここにおける「キーフレーズ」といってもいいでしょう。
とかく私たちは「ゴール」や「終わり」をイメージしがちです。
「あと何年で定年だ」「このプロジェクトは数カ月後に完了する」「○年後に子育てから卒業する」。
終わりやゴールはイメージしやすいものです。
自分の年齢を踏まえて「あと何年、生きられるか」を考える人もいるかもしれません。
しかし、ゴールや終わりをイメージすると、どうしても寂しさや暗さが伴います。
ゴールを想定することもときに必要かもしれませんが、人生の終わりをイメージするなんて、どう考えても明るい未来が開ける感じがしません。
長く自律神経の研究を行ってきましたが、意識やイメージと自律神経は密接につながっています。
寂しさや暗さをイメージすると、それに伴って自律神経の状態も悪くなるのです。
反対に、希望やワクワク感を持っていると、それだけで自律神経が整い、実際に体の調子がよくなったり、感情のコントロールがしやすくなり、気持ちが前向きになったりします。
自律神経の研究結果からも明らかです。
自律神経を整え、コンディションよく暮らす意味でもワクワクした気持ちでいることはとても大事なのです。
今日が新しい人生のはじまり。
そんな明るくて、前向きな意識を持つことで、コンディションは整ってきます。
◎はじめるといっても「新しいこと」ばかりではない
「はじめる」と聞くと、何か新しいことをはじめなければいけないと感じる人がいるかもしれません。
「新しい分野の勉強をはじめる」「今までやってこなかったSNSをやってみる」「まったく新しいコミュニティに参加する」などです。
もちろん、そうした新たな挑戦も素晴らしいことです。
やってみたいことがあるなら、どんどんチャレンジしてください。
しかし、ここで想定する「はじめる」とは必ずしも新しいことばかりではありません。
たとえば、昨日までと全く同じ仕事を、まったく同じメンバーで、まったく同じ場所でやるとします。
そうした状況では、どうしても昨日と同じ感覚で新鮮味がなく、“なんとなく”仕事をしてしまうでしょう。
ここでキーフレーズを思い出してほしいのです。
今日が一番若い。
今日が新しい人生のはじまり。
今日が一番若く、新しい人生のはじまりだとしたら、どんな気持ちで仕事に取り組むでしょうか。
どんな顔で職場のメンバーに会い、あいさつするでしょうか。
少なくとも昨日と同じ顔、同じトーンであいさつはしないでしょう。
そこが大事なポイントです。
「今日が新しい人生のはじまり」と意識する習慣。
それがここでのメインテーマです。
そんな意識を毎日持つことができれば、こんなに素晴らしいことはありません。
とはいえ、毎日は難しいかもしれません。
ただし、週に1回でも2回でもそんな思いで一日をはじめることができれば、気持ちはまったく違ってくるはずです。
気持ちが変わると、それだけで自律神経にもいい影響を及ぼします。
血流がよくなりますし、気分は前向きになり、集中力は増し、何事にも意欲的に取り組むことができるようになります。
まさにいいことずくめです。
◎今日からまた新しいゲームがはじまる
「はじめる」というテーマにおいて前向きな話ばかりしていますが、人生はそんなに明るく、楽しいことばかりではありません。
とてつもなく辛いことがあったり、まさに今、苦しくてたまらない状況にいる人もいるでしょう。
仕事でうまくいかないことがあったり、対人関係に悩んでいたり、家族とのシビアな問題を抱えている人もいるでしょう。
「そんな前向きに“はじめる”なんて気持ちになれないよ」と感じる人もいるかもしれません。
それでもなお、今日という日を「新しい人生のはじまり」にしてもらいたいと願っています。
「はじめる習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
それらによって次の細胞に情報を伝えていき、それが網の目のようにいっせいに行われることで、情報が瞬時に伝わり、手や足などの末端まで伝達されていきます。
しかし、その伝達情報がうまくいかないと、脳が興奮して抑制が効かなくなり、イライラしたり、落ち着かなくなったりします。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?