
高齢者を対象にした大規模な調査でわかったこと
「栄養」は、健康長寿を実現するための最大の要因です。
それに加えて、「体力」と「社会参加」という二つの要素もまた、健康長寿を大きく左右することが、長年の調査からわかってきました。
「体力」については、さまざまな観点から高齢者の身体機能を測り、追跡調査をしていきました。
とくに「握力」と「歩行速度」が健康寿命と深い関係のあることがわかりました。
では、なぜ体力と健康長寿に関係があるのでしょうか。
それは、栄養との関係を考えてみると、おわかりになるでしょう。
体力を生むには、体を思い通りに動かさなくてはなりません。
それには、手や足の筋肉がしっかりとしている必要があり、その筋肉の材料は栄養によって供給されているという理屈です。
いい換えると、栄養のバランスのとれた食事が筋肉をつくり、その筋肉が体力のもとになっている。
そして、この体力が長い目で見ると、血管病の予防や健康長寿にもつながっているというわけです。
このように、体力と栄養は切っても切れない関係にあります。
元気老人になるために、いかに食欲が大切かということが、ここからもおわかりになるでしょう。
では、なぜ体力のなかでも握力と歩く速さなのか。
そのメカニズムはまだよくわかっていません。
もしかすると、人間の進化の過程と関係があるのかもしれません。
さて、もう一つの「社会参加」です。
高齢者になると、どうしても家に閉じこもりがちになり、80歳以上の在宅高齢者のうち約三割が、週1回以下しか外出しないという調査結果もあります。
こうした「閉じこもり」が、やはり健康長寿と大きくかかわっていることもわかりました。
体に障害がないのに「閉じこもり」となっている人を追跡調査すると、1キロメートルの平地歩行や階段の上り下りができない「歩行障害」や認知症が疑われる「認知機能障害」になる人が三倍から四倍も多いことが判明したのです。
いうまでもなく、足腰の衰えと頭の働きの衰えは、健康長寿を妨げる重大な障害です。
そうした「閉じこもり」を解消するためにも、「社会参加」は大切です。
「社会参加」というちと大げさに聞こえるかもしれませんが、要は家の外に出て、どんな形であれ人と交わるということが重要です。
どうしても高齢者は外出がおっくうになるものですが、周囲の人が無理にでも誘って外に連れ出すことをおすすめしたいと思います。
たまには外出して友人や知人と会話をする。
外を歩くことで、適度に体を動かすので食欲がわく。
栄養がたっぷりとれるので体力がつく。
そうすると気分が明るくなって、また外出したくなる――そうした好循環にもっていくことが大切です。
この「栄養」「体力」「社会参加」を老化予防の三本柱と呼んでいます。
元気で長生きするためには、この三つを日常生活にうまく取り入れることが不可欠です。
「50歳を過ぎたら「粗食」はやめなさい! より」
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ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状が出ることは事実です。
さらに、ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経の働きを助けます。
十分にあると、集中力ややる気が高まり、不足すると神経過敏などの症状が起こりやすくなるのです。
脳や神経とも関連が深く、不眠症にも効果があるといわれています。
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残念ながら現代社会に生きる私たちは、栄養的に見るとかなり厳しい環境に生きています。
まず、野菜は昔と変わらぬ色や形をしていますが、栄養価は、ずいぶん非力になっています。
今のニンジンは、50年前の8分の1から20分の1にまで低下していると言われています。
化学肥料や農薬などが使われ、ハウス栽培によって旬がなくなり、また、収穫後の輸送・陳列・保存、こうした時間の経過、さらに調理することで栄養価が消失します。
果実なども栄養価が未熟なまま出荷され、また畜産物や海産物も例外ではありません。
私たちは今の環境の中で最善の方法を模索するしかありません。
大切なのは、毎日、ちゃんと噛んで食べること。
よく噛んで食べることは脳の発達によい、ということは科学が証明しています。
まずは食事・生活習慣を見直し、「栄養価の補充」としてサプリメント(栄養補助食品)を活用してみてはいかがでしょうか。
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