序章 動脈硬化を防ぐ
「自発性の低下」は脳の動脈硬化の“黄信号”。
脳の血流が悪化すると、
脳の機能低下が徐々に進行。
早めの手立てで最悪の事態を未然に防ごう
動脈硬化は脳梗塞や心筋梗塞など、生命の危機に関わる疾病に直結します。
脳以外の部位に動脈硬化ができた場合は「コラテラール」と呼ばれる“サブ”の血流路ができて、ある程度までは血流も確保されます。
しかし、脳の血管は非常に細く、そのひとつひとつが脳の小さな部位に血液を供給しているため“サブ”の血流路が形成されにくく、血流の悪化は避けられません。
脳の血流が悪くなれば、様々な機能に支障が及ばされることになります。
また、脳の動脈硬化は自発性の低下を招き、何もしないで一日中ボーッとしていたり(そのため、「認知症」と間違われることもある)、そこまでひどくなくても、仕事の上でのイニシアチブがとれなくなったり、言われたことはやっても自分からは何もしようとしなくなるなど積極性が欠けたりして、その結果、会社員生命、社会的生命まで危うくすることもあります。
50歳を超えて、「なんとなくやる気がなくなってきた」「何かを始めることが億劫だ」と感じるようになったら、「脳の動脈硬化」の黄信号かもしれません。
体の発する信号を見逃さず、早めの手立てを行うことです。
前頭葉の老化を防ぐ
前頭葉の機能は、
1.意欲と感情のコントロール
2.思考のスイッチング
3.クリエイティビティ
前頭葉が委縮して老化すると、これらの機能が低下する。
一方でこれらの機能を保つことで、
前頭葉の老化自体が抑えられる
「気が若い人は、見た目も体もいきいきしている」――とは、多くの人が認めるところでしょう。
この「気」とは「気持ち」のこと。
それはまた「感情」と言い換えることもできますし、さらにそれは「意欲」や「思考」、それに「創造性(クリエイティビティ)にもおのずと現れてくるものです。
これら「意欲・感情・思考・クリエイティビティ」を司るのが、脳の「前頭葉」です。
したがって、ある人の「意欲・感情・思考・クリエイティビティ」の如何を見ればその人の前頭葉の状態もわかるのですが、一方で「意欲・感情・クリエイティビティ」をいかに若い状態に保つか、いかにコントロールするかによって、前頭葉の萎縮、老化を抑えることもできるのです。
しかもそれは決して難しいことではなく、ライフスタイルや日常の習慣、思考や性向、また思考法をほんの少し変えるだけ、修正するだけで意外に簡単にできるものなのです。
体のなかで最も「アンチエイジング」のカギを握る脳の「前頭葉」の老化を防ぐ様々な奥義をご紹介していきたいと思います。
「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?