序章 「うつ」に注意
「やる気が出ない」「頭の働きが悪くなった」……
そう感じるようになったら、
まずは「うつ」の予防を心がけること。
「セロトニン」不足は、
うつの大きな引き金となるので要注意
「中高年」と呼ばれる年齢になって「どうも最近やる気が出ない」「活動的でなくなった」「頭の働きが悪くなった」……と感じたら、まずは「うつ」を疑ってみる必要があります。
とりわけ、中高年がうつになりやすくなるのは、脳内神経伝達物質のひとつである「セロトニン」の不足が大きな要因といわれています。
うつ症状が起こるのは、神経細胞間や筋繊維間に形成される「シナプス」という接合部での神経伝達物質の受け渡しがうまくいかなくなることが原因のひとつと考えられています。
シナプスには隙間があり、その隙間にセロトニンが入り込むことで神経伝達が行われるのですが、シナプスの隙間でセロトニンを受け損なうと、セロトニンは放出もとに吸収されてしまいます。
このような場合や、あるいはもともとセロトニンの放出量が少ないために神経伝達がうまくいかなくなると、気分が落ち込んで「うつ」になるのです。
「SSRI」という抗うつ剤(比較的副作用が少ないといわれてきましたが、最近副作用が話題になっています)では、セロトニンが放出元に吸収されるのを抑える働きがありますが、もともと放出されるセロトニンが少なければ効き目も薄くなります。
うつの予防には、「セロトニン」を減少させないようにすることです。
「男性更年期」にも要注意
「うつ」だと思ったら……
男性にもある、「更年期」。
そのメカニズムと心身への「影響力」を知っておこう
アグレッシブさ、クリエイティブさがなくなってきたら、男性の場合は、「うつ」のみならず「男性更年期(いまはLOH=加齢性腺機能低下症といいます)にも要注意です。
「えっ、男性にも更年期?」――と思われるかもしれませんが、更年期障害は女性のみのものではありません。
人体には、ごく微量で各器官の働きや免疫機能、代謝機能をコントロールする、生命維持に欠かせないホルモンが約70種あるといいます。
これらの種々のホルモンは、40~50歳くらいを境にその分泌量が減少します。
とりわけ、女性は女性ホルモンが急激に減少し、男性は男性ホルモンの減少が目立ち始め。それによって体内のホルモンバランスが大きく崩れると、ほてり、発汗、めまい、頭痛、耳鳴りなどの様々な身体症状の他、無気力、集中力や記憶力の低下、イライラ、不安感、抑うつなどの心因的な症状が現れます。
日本人はこの心因的な症状が強く現れやすい傾向があり、「うつ」と診断された人のなかにも、実は「更年期障害」であるという人も相当数いるとみられています。
女性の場合は「閉経」を伴うため比較的わかりやすいのですが、男性の場合なかなか意識したり自覚したりする機会もないだけに、「更年期障害」には要注意です。
「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」
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ビタミンB12は、もともと悪性貧血を防ぐビタミンとして知られています。
血液細胞が正常につくられるには、ビタミンB12が必要だからです。
それと同時に、脳神経系の働きにも深くかかわっています。
根本的な作用に目を向けると、ビタミンB12は、体内のすべてのたんぱく質を修復する働きを持っています。
とりわけ、脳や神経の修復には、ビタミンB12が不可欠なのです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
シナプスが豊富できちんと機能している場合、脳や神経の働きはよくなります。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
ビタミンB12は、脳からの指令を伝達する神経を、正常に働かせるために必要な栄養素です。
また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?