第3章 ささいなことは気にしない

第3章 ささいなことは気にしない

 

「ささいなことなのに、

気になり始めたらキリがなくなる」のは、

前頭葉の老化の現れ。

「些細にこだわると、大事がおろそかになる」と心得て、

自分に「心配無用」と言い聞かせよう

 

出かけるときにカギをかけ忘れてしまったような気がする……そう思い始めると、ずっと気になって何をやるにも上の空。

せっかくのお出かけを早々に切り上げて帰宅したというような経験をしたことのある方も少なくないと思いますが、あることが気になり始めたらキリがなくなるのは、前頭葉の老化のサインです。

 

また、中高年に多い、たいした症状でもないのに気になって仕方がなく、病院に行ったら異常なしと言われたのにやっぱり気になって何軒もの医者を訪ね歩く、「ドクターショッピング」。

これは精神医学的には、「身体化障害」という症状に位置づけられます。

無意識のうちに嫌なことを避けようとする気持ちがかえってその嫌なことを引き起こしてしまうというメカニズムが働いていると考えられているのです。

いずれにしてもこのようにささいなことにこだわるようになると、肝心要の大事に目が行かなくなったりおろそかになったりします。

 

 

ささいなことにこだわり、くよくよするようなネガティブ思考は、脳の老化を早めます。

 

つとめて「ささいなことは、気にしない」ことです。

気になり始めても「心配しなくても大丈夫」と自分に言い聞かせるのです。

結局、「せっかくのお出かけを早々に切り上げて帰宅したら、ちゃんとカギはかかっていた」というのがオチなのですから。

 

 

ひとりでぐるぐる考え込まない

 

何かをきっかけにくよくよ考え始めると、

どんどん悪いほう、悪いほうへと考えて、

場合によっては「うつ」の状態になることも。

そんな「思い込み」の呪縛から

自らを解き放つためには――

 

中高年になると「うつ」にかかりやすくなる傾向がありますが、とりわけものごとを深刻に考えすぎる人や、思い込みの強すぎる人は要注意です。

 

最初はたいしたことでもないのに、くよくよ考えるうちに思考がどんどん悪いほうへと転がっていき、収拾がつかなくなり、しまいにうつ状態になるというのは、ままあるケースです。

 

ちなみに心理学用語では、最初のきっかけとなった思い込みのことを「自動思考」といいます。

例えば親族ががんで亡くなった方が多いためにちょっと咳が止まらないだけで肺がんだと思い込み(自動思考)、それで「家庭の医学」などの本を引っ張り出してきて読んではますます自分は肺がんだと「確信」してしまう――。

 

 

そんなふうに「自動思考」にハマってしまったときには、頭のなかで考えていることを書き出して、さらに他に考え方はないのかを客観的に見つめ直してみます。

 

肺がんだと思い込んでいても、気管支炎かもしれない、あるいは風邪をこじらせただけかもしれない。

そんなふうに「思い込み」の呪縛から解き放たれるきっかけを探すのです。

 

思い込みの呪縛にはまっている間はしぼんでいた脳も、ここで一気に、水を吸ったスポンジのように膨らんでいきます。

「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。

この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。

ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/