第2章 加齢を怖がる必要はない 根拠のない不安に振りまわされるのは不幸

第2章 加齢を怖がる必要はない

根拠のない不安に振りまわされるのは不幸

 

これからどんどん体が弱っていくのでは……。

 

いずれこんな病気になるのでは……。

 

そんなふうに、まだ現実に起こっていないことに対する「予期不安」のようなものを、多くの人が抱えています。

現代精神医学の世界では予期不安とは、パニック発作を一度経験して、あの恐ろしい発作がまた起きるのではないかという不安感が生じることを指します。

 

ただ、多くの人が、さまざまなまだ起こっていないことに対してもつ不安も似たような心理と考えるので、あえて予期不安と呼ぶことにします。

 

また、予期不安に振りまわされて、結果的にリスクを高めているケースも少なくありません。

たとえば、高齢ドライバーが事故を起こしたニュースを見て、「自分も事故を起こすのでは」と不安になり、自動車の運転免許を自主返納する人がいます。

 

では、実際に高齢ドライバーが事故を起こす確率はどのくらいでしょうか。

警察庁の統計によれば、2020年に起こった交通事故のうち、75歳以上の高齢者を第一当事者(加害者)とする事故の件数は2万5812件。

75歳以上で原付以上の運転免許を保有している人の数は、2020年末時点で590万4686人ですから、75歳以上のドライバーが1年間に交通事故を起こす確率は、単純計算で約0.4パーセントということになります。

 

同様に計算すると、30代、40代、50代、60代のドライバーが事故を起こす確率は、いずれも約0.3パーセントとほぼ同じです。

つまり、高齢ドライバーが事故を起こす確率は、ほかの年代と比べて少し高いといえます。

むしろ突出して高いのは16~24歳の若年層で、約0.7パーセントと高齢者を含むその他の年齢層のほぼ倍の確率で事故を起こしています。

 

一方で、65歳以上で運転をやめた人が6年後に要介護認定となるリスクは、運転を続けた人の約2.2倍にもなるという、筑波大学などの研究チームによる調査結果があります。

 

それまで日常的に車を運転していた人が運転をしなくなれば、必然的に出かける機会も意欲も低下します。

結果的に活動量が低下し、要介護認定リスクが上がると考えられます。

 

つまり、高齢者が運転を続けて事故を起こす可能性よりも、運転をやめて要介護認定になる可能性のほうが二ケタくらい高いと考えられるのです。

ただ、これには「介護予防のために運転を続けて、死亡事故を起こしたらどうする」という声があるのも事実です。

 

生活の自立度を高め、それが高齢者の自尊心を支えることにつながるという面からも、高齢者ができるかぎり運転を続けることに意味があると思います。

 

高齢者が新型コロナに感染する可能性と、外出自粛によって要介護になる可能性も、同様の関係にあると思います。

新型コロナの感染数がほぼゼロの地域に住んでいながら、感染するのが怖いからと家にとじこもっていれば、高齢者は1、2年で歩けなくなってしまうでしょう。

 

実際に診察し「○○が怖い」という不安にとらわれすぎて、かえって怖い状況に自分を追い込んでいるとしたら、それこそ怖いという気がします。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/