第2章 一人になったときの予行演習をしておく
第2章 一人になったときの予行演習をしておく
プロ野球の選手や監督として活躍した野村克也さんは、晩年に妻の沙知代さんに先立たれると目に見えて衰弱し、その後2年あまりであとを追うように亡くなりました。
あれほどパワーのあった人でさえ、配偶者を失ったとたんに弱りきってしまったのです。
それだけ夫婦仲が睦まじかったともいえるでしょう。
体が衰弱していたと報じられていましたが、高齢者の場合、うつ状態で食欲不振になると如実に体が衰えます。
孤独に対するリスクヘッジのようなことが、もしかしたらできていなかったのかもしれないとも思います。
高齢になって、現実に一人で暮らすようになる前から、孤独の楽しみ方を少しずつ覚えておくのがいいのではと思います。
たまに一人で過ごす時間をつくり、書斎にこもって本を読む、ユーチューブでバカバカしい動画を見る、オンラインで囲碁や将棋の対局をするなど、楽しいと思う過ごし方を見つけてみてください。
高齢になるほど、「孤独にだけはなりたくない」「認知症にだけはなりたくない」など、予期不安的な発想が強くなります。
打も、「認知症にだけはなりたくない」と思っていたとしても、いざ認知症になっても初期のうちは自分では気がつかないことが多いし、かなり重くなれば、自分がボケていることさえ認識できなくなります。
そう考えると、認知症になったことで本人が苦しむ時間はそれほど多くないともいえます。
不安に思っていたのにも実際になってみるとそうでもない、ということは案外多いのです。
日本人のよくない点の一つは、予期不安が強いわりに、実際にそうなった場合の対策を立てていない人が多いことです。
たとえば、「がんになりたくない」と言って、しょっちゅうがん検診を受けている人はよくいますが、実際にがんになった場合にどの病院に行くかを決めている人はほとんどいません。
「ボケたくない」と言っている人が多いわりには、認知症になった場合に、介護保険をどう申請して、どんなサービスを受けられるのかを調べて把握している人や、どの老人ホームに入るかを決めている人はめったにいません。
予期不安でビクビクして生きるくらいなら、もしそうなったらどうなるのかを「予行演習」してみたほうがいいと思います。
たとえば孤独の予行演習として、一人で旅をしてみるとか、ウィークリーマンションを1週間借りて一人で暮らしてみるとか、不安に思っていることが、実際にどの程度のものなのかを体感しておくと、「もしそうなったとしても大したことはない」と思えるようになります。
それが、自分自身の余裕を増やしてくれます。
「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?