前頭前野の働き 4.切り替え力→セロトニン神経
世の中というものは、なかなか自分の意図した通りに進まないものです。
いや、むしろ思い通りに進むことのほうが少ないといってよいでしょう。
そうしたとき、スパッと気持ちを切り替えて、現実的に軌道修正できるかどうかが重要になってきます。
この社会では、1人では生きていけないという前提のもと、折り合いをつけるほかないのが人間です。
そうしたことができるのも、前頭前野の働きがあるからです。
とくに、こめかみあたりにある腹外側の部分がこの働きをつかさどっています。
腹外側は、イライラすると青筋が立って盛り上がってくる部分です。
マンガでもよく、ここに十字のマークを書いて登場人物のいらだちや怒りを表すので、ご存じの方も多いでしょう。
腹外側の働きに障害が起きると、気持ちや考えを切り替える能力が失われてしまいます。
その典型的な症状が、自閉症の患者さんによくみられる「保続症」というものです。
たとえば、いつも歩いている道に、たまたま障害物が置かれていたとします。
すると、保続症の人は障害物の手前で止まってしまって、それ以上歩けなくなってしまうのです。
自分の思った通りに進めない場合、軌道修正ができないわけです。
普通だったら、その障害物をスッとよけて歩いたり、どうしても通れなさそうなときには回り道をすることでしょう。
しかし、保続症の人はそれができません。
困難に突き当たったら、また別の方法を考え、それでもダメなら、また別のやり方に切り替える――健康な人には当たり前のように思えるこうした能力も、実は前頭前野の働きによって左右されているわけです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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寒暖の差、生活の変化が激しい毎日は、私たちの身体にも大きなストレスを与えます。
そんな日々が続くと、自律神経は、その変化に対応しきれなくなって、やがて疲れやめまい、不眠、頭痛といった症状が現れてきます。
とくに人間関係の変化は想像以上に心身への影響が大きい。
気分が落ち込んだり一時的にうつ状態になってしまうこともあります。
とはいえ、そのうちに治ってしまうことが多いので、うつ状態でも必ずしも病気とは言えません。
しかし、落ち込みの程度が重い時や、落ち込みが長引いてしまうと、人の意欲は奪われて行動にも影響を及ぼします。
自律神経を整えるためには生活リズムを作るとともに栄養面も非常に大切です。
私たちの脳の中で司令塔のような役割をしているセロトニン神経という神経細胞が弱ってきており、軽い不調からうつ病、パニック症候群、さまざまな依存症などを引き起こす原因になっています。
この現象は大人から子どもまで老若男女に広がっています。
セロトニン神経は、日を浴びることや意識した呼吸、簡単な運動をすることなど日常生活に少し工夫を加えることによって鍛えることができます。
脳には無数の神経細胞があり、その神経細胞の末端からセロトニンやアセチルコリン、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出しています。
イライラしやすいときは、脳の神経伝達物質であるセロトニン、アセチルコリン、ドーパミンなどが不足していることが考えられます。
そのため、これらの材料となるアミノ酸と、アミノ酸を取り込むために必要な糖分やビタミンB12の不足を疑ってみましょう。
また、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖が足りなかったり、神経伝達物質を放出するときに働くカルシウムが不足したりしているのも原因のひとつと考えられます。
ビタミンB12について?