仕事帰りの「ちょっと一杯」の脳への効用
おしゃべりでオキシトシンが出るということは、日々の生活でたまったストレスが、おしゃべりで解消できることを意味します。
そう考えてみると、仕事のあとのちょっと一杯という習慣は、脳科学的には正解だといえるかもしれません。
実際に居酒屋でおしゃべりしている人たちのオキシトシンを計測したわけではありませんが、日中の仕事でたまったストレスを、オキシトシンを合成分泌させることで、結果としてストレスを解消させているのでしょう。
もちろん、職場の気の合う同士のランチ会や女子会でもいいと思います。
それは、日本だけではなく、イギリスのパブやドイツのビアホールなども同じでしょう。
仲間でワイワイ、ガヤガヤすることでオキシトシンを出しているわけです。
しかも、日本の屋台や赤提灯が、肩が触れ合うように狭い場所で飲んでいるのと同じように、パブやビアホールでも同じように狭くてワイワイ、ガヤガヤしているのは、まさにオキシトシンが出る状況といっていいかもしれません。
ただし、何でもいいから話をすればいいというわけではなく、心地よいおしゃべりでないといけません。
苦手な上司や、あまり気が進まない人とおしゃべりするのでは、逆にストレスになってしまうでしょうし、話す内容があまり難しかったり深刻だったりすると、大脳が必死に働くことになり、オキシトシンを分泌する神経回路は働きにくくなりそうです。
触覚によるグルーミングの場合に当てはめて考えると、深く考えずにしゃべるときには大脳があまり働かず、無意識の神経回路を刺激することでオキシトシン分泌が盛んになるのかもしれません。
仕事のあとの「ちょっと一杯」は、最近では非生産的な行動として扱われたことに加えて、新型コロナの流行もあって、すっかり影をひそめてしまいました。
しかし、新型コロナが一段落したら、良識的な範囲で復活させていいのではないかと思います。
オキシトシン不足になりやすいデジタル生活
最近では、仕事のあとの「ちょっと一杯」が少なくなった代わりに、スマホやパソコンを使って仲間の間でチャットをしたりメッセージを送ったりすることが多くなってきました。
仕事が終わるとそそくさと家に帰って、スマホやパソコンなどのデジタル機器を使って、いわゆるデジタル三昧。
それによって気晴らしになっている面もあるので、それはそれでけっして悪くはないのですが、オキシトシンによる癒しにはなりません。
どうして癒しにならないかというと、デジタル機器でのチャットやメッセージは、基本的に文字化されるためです。
文字化された情報というのは、まず大脳にある言語中枢に届きます。
言語中枢に入ったその情報は、その後に無意識の神経経路を辿ってオキシトシン合成分泌まで辿りつくかというと、辿り着く場合もあるかもしれませんが、経路が長すぎます。
少なくとも通常の経路では、ストレスホルモンを解消させるオキシトシン合成に至らないと考えられます。
ということは、仕事が終わったあとのスマホ操作は、ストレス中枢を鎮めていなかったことになります。
むしろ、大脳が刺激されたりブルーライトを受けたりして、ストレス中枢が興奮したままなので眠れなくなってしまうのです。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
ビタミンB12について?