おしゃべりもグルーミングになる
オキシトシンが分泌される行動について、興味深い実験があります。
まず、子どもに対して人前でプレゼンテーションをするというストレスを与え、その直後にストレスホルモンであるコルチゾールの量を測ります。
当然、コルチゾールは増えています。
その後、お母さんのところに行って、ベタベタくっつきながらおしゃべりをしてもらう。
すると、コルチゾールの値がスッと下がり、同時にオキシトシンが増えていたのです。
ここまでは、グルーミングとオキシトシン分泌のストーリーから想像がつくかと思います。
そこで、もう1つ実験があります。
今度は、プレゼンのあとに子どもがお母さんとベタベタするのではなく、電話口でお母さんとお話をするのです。
すると、やはり同じようにコルチゾールの値が下がるという結果が出ました。
要するに、直接触らなくても、おしゃべりをすることでオキシトシンが分泌されてストレスが解消されるというデータが出てきたのです。
考えてみれば、おしゃべりというのは、人間社会における一種のグルーミング行動なのでしょう。
皮膚が直接触れ合わなくても、おしゃべりをするだけでオキシトシンが出るのです。
そう考えると、一家の団欒というのも、グルーミング行為に近いといっていいかもしれません。
グルーミングができる家庭には、きちんとした非言語のコミュニケーションができる子どもが育ちます。
共感の能力が発達して、直感力が鍛えられるからです。
しかも、この実験では面と向かって話したわけではなく、電話口の向こうとこちらで話しただけで、オキシトシンが分泌されたという点で注目すべきものといってよいでしょう。
「脳科学者が教える「ストレスフリー」な脳の習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
ビタミンB12について?