第1章 「血管が老化する」って、どういうこと?
若々しい血管と老化した血管の違い
「人は血管とともに老いる」という有名な言葉があります。
血管が老化すると、脳や臓器に十分な栄養や酸素が届かず、体のあらゆる器官の能力が低下していくことを表しています。
では、若々しい血管と老化した血管は、どこが違うのでしょうか。
その答えは、血管を流れる血液の勢いにあります。
みなさんは、心臓から送り出された血液がどれくらいの時間をかけて心臓に戻ってくるか、想像がつきますか。
答えは、1分足らずです。
体の中を駆け巡って1分で戻ってくるのですから、血液はものすごいスピードで流れていることになります。
実際に頸動脈をエコーで観察すると、勢いよく血液が通っていく様子を見ることができます。
重力に逆らって脳まで上がっていくのですから、その勢いは計り知れません。
首に指をあててみると、血管がドクドクと拍動しているのがわかりますね。
血液が流れる勢いは、心臓の力だけでは生まれません。
そこで重要な役割を果たしているのが、動脈の中層にある平滑筋です。
平滑筋がポンプのように動いて、血液を先へ先へと送り出しているのです。
若々しい血管とは、平滑筋がしなやかに力強く動く血管というわけです。
逆に老化した血管は、平滑筋が衰えて硬くなっている状態と考えてください。
ポンピングの力も弱くなり、血流も勢いがなくなります。
その結果、脳や臓器に届く栄養や酸素も少なくなってしまうのです。
老化した血管は、よく古いホースにたとえられます。
蛇口から勢いよく水が流れてくると、弾力がないために水圧をまともに受けてしまいます。
そのためにヒビ割れが起こりやすくなります。
そんな恐ろしいトラブルが、老化した血管で起こっているのです。
「血管が強くなる習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、生活習慣・食生活に少し気をつけるだけでも進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
また、ビタミンB12は古くから、神経系の機能回復に効果があることが知られていましたが、最近の研究で、このビタミンB12の不足によって脳細胞の萎縮が進むことがわかってきました。
ビタミンB12は、脳の萎縮を食い止めるために重要な脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?