第1章 血圧と血糖値がポイント
では、血管はなぜ老化するのでしょうか。
大きな要因は2つあります。
1つは、「高い血圧」です。
血圧が高いと、血管の内層が受ける力が強くなります。
拍動ごとにハンマーで殴られているようなものです。
1分間に心臓が打つ拍動を70回とすると、1日に約10万回となります。
血管は1日に10万回も圧力を受けていることになります。
それだけ殴られるのは拷問と同じです。
老化するのも仕方ありません。
血管は老化すると、弾力を失って硬くなります。
硬い血管は、さらに圧力を受けやすい、という悪循環が生まれます。
血管の老化のもう1つの要因は、「ドロドロの血液」です。
血液がドロドロになると、血液を押し出すのに強い力が必要になります。
それだけ血管の平滑筋の仕事が多くなり、疲れてしまうのです。
また、ドロドロの血液によって血管の内壁が傷つきやすくなります。
傷がつくと動脈硬化が起こり、さらに血管が硬くなります。
血液がドロドロになる主な原因は、血液中の糖と脂質です。
血糖値が高い、中性脂肪が多い、と健康診断で指摘されたら、血管が老化している可能性があります。
糖質、脂質が高くないサラサラな血液が理想です。
恐ろしい病気を防ぐキーポイント
ここまでをまとめると、以下のようになります。
◎若々しい血管は、柔軟性があって柔らかい。
◎老化した血管は硬くて、血液を押し出す力が弱い。
◎血管の老化の原因は高血圧とドロドロの血液。
◎血液ドロドロの原因は、高い血糖値と中性脂肪。
つまり、血管の老化は、三大生活習慣病といわれる、「高血圧」「糖尿病」「脂質異常症」と密接に関連していることがわかります。
そして、血管が老化すると、脳梗塞、脳出血、心筋梗塞という命にかかわる病気を引き起こすことがはっきりしています。
「血管を健康に保つ」
これが、恐ろしい病気を防ぐキーポイントなのです。
ところで、よく「血管年齢」という言葉を聞きますが、客観的に血管の年齢を測ることはできるのでしょうか。
答えはイエスです。
PWV検査(脈波伝播速度)は、心臓の拍動が動脈を通じて手や足に届く速度を計ることによって血管年齢を測定するシステムです。
両腕と両足の4カ所に就けたセンサーで拍動の到達時間を計測し、計算式に当てはめると「あなたの血管年齢は○歳です」と提示されます。
また、頸動脈のエコー検査では、動脈硬化によるプラークがはっきりと画面に写し出されます。「
「自分の血管の状態を知っておきたい」という人は、専門医に相談するといいでしょう。
「血管が強くなる習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、生活習慣・食生活に少し気をつけるだけでも進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12と葉酸、ビタミンB6の吸収が悪くなると動脈硬化の原因物質 (ホモシステイン・活性酸素)が増えるといわれています。
また、ビタミンB12は古くから、神経系の機能回復に効果があることが知られていましたが、最近の研究で、このビタミンB12の不足によって脳細胞の萎縮が進むことがわかってきました。
ビタミンB12は、脳の萎縮を食い止めるために重要な脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
ビタミンB12について?