第3章 認知症を遠ざける小さな習慣
低体温による免疫力の低下を防ぐ
コロナ禍で、以前より「体温」への関心度が高まりました。
体温が37.5度以上になると、ウイルス感染による発熱と解釈される場面が多くなったからです。
実際のところ、平熱は人それぞれで、なかには37度近い人もいます。
1日のうちでも1度前後の変動があり、もっとも体温が低いのは午前4時前後、そして夕方になるといちばん高くなります。
また、平均体温は加齢とともに下がります。
赤ちゃんの平熱は36.4~37.5度。
そこから年齢とともに少しずつ下がるのです。
一般的に平熱が36度を下回るようになると「低体温」とされます。
高齢者には低体温の人が少なくなく、低体温の高齢者は認知症に陥りやすいといわれています。
また、動物実験では外気温が低いほど、アルツハイマー型認知症は悪化することが確かめられています。
なぜ外気温が低かったり低体温だったりすると認知症のリスクが高まり、発症した認知症が悪化するのか。
確かなことが解明されているわけではありません。
しかし、これには「免疫機能」が関わっていると考えています。
そもそも免疫とは、一度かかった病に、二度とかからないしくみのことです。
体外から侵入したウイルスや、体内で生じたがん細胞などの異物をいち早く見つけ出し、排除するしくみを指しています。
この大事な免疫機能は、体温が36.5~37.0度の範囲内で最大限働くように設計されています。
免疫の主役を担っている白血球の働きは、体温が1度下がると、約30%ダウンするといわれているのです。
ここで焦点になるのは、「免疫力が低下すると、認知症になるのか?」という疑問です。
この疑問に明確に答えるだけの証拠は、まだそろっていませんが、加齢で白血球などの免疫細胞に慢性的な炎症が起こると、脳で認知機能の低下が起こることがわかっています。
ですから、免疫の低下を招く低体温は、避けるにこしたことはないのです。
※ポイント 身体が冷えないように注意して免疫力を高めましょう
「一生ボケない習慣 より」
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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。
役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。
これが、正常なストレス反応の流れです。
ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。
こうなると、状況が一変します。
コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。
まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。
副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。
ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。
そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。
その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。
また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。
私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。
このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。
ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアでATPが十分につくれなくなる。
ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。
ビタミンB12について?