第3章 動物との触れ合いでストレスやうつ状態を緩和

第3章 動物との触れ合いでストレスやうつ状態を緩和

 

犬などの愛玩動物との触れ合いが、認知症患者さんのストレスやうつ状態の緩和に役立つことがあります。

これは古代ローマ時代から兵士のリハビリに使われてきた長い歴史がある「アニマル・セラピー」と呼ばれるメソッドです。

 

アニマル・セラピーには、大きな効果が2つあります。

 

1つは、癒し効果です。

ヒトに慣れている動物と触れ合っていると、動物が嬉しそうに反応してくれます。

そこで生まれる言葉によらない(メンバーバルな)コミュニケーションが、患者さんにとって何よりの癒しになるのです。

 

裏を返すと、そんなささいな関わりすら嬉しく感じられるほど、認知症患者さんは孤独で寂しい思いをしているともいえます。

動物の話題を介して、他の人たちとコミュニケーションをとるきっかけも得られるでしょう。

 

 

もう1つは、動物を撫でると生理的な効果も期待できます。

犬や猫などの毛を優しく撫でると、喜んでくれます。

それと同時に、撫でている側も、穏やかな気持ちになるのです。

 

これは気のせいではなく、脳内で分泌されるホルモンによるものです。

このとき、脳内では「オキシトシン」や「セロトニン」といったホルモンが分泌されています。

 

オキシトシンは別名「母性のホルモン」と呼ばれており、授乳中のお母さんの脳内で盛んに分泌されて母乳の分泌を促しています。

撫でられている動物にも、オキシトシンは分泌されているそうです。

 

ストレスやうつ状態の緩和が望まれるのは、認知症の患者さんだけではありません。

 

ストレスやうつ状態が長く続くと、健常者でも認知症のリスクは高まります

 

ストレスを感じた時に分泌される「コルチゾール」というホルモンの濃度が上昇すると、学習や記憶に関わっている脳の「海馬」という部分の機能が低下してしまい、もの忘れが多くなることが報告されています。

コルチゾールは、免疫力も低下させます。

 

アルツハイマー認知症では、この海馬が真っ先に委縮することもわかっています。

また、65歳以上の高齢期のうつ状態があると、認知症のリスクが1.9倍になるという報告もあります(Livingston G,et al.Lancet.2017)。

 

ですから、事情が許すなら、好きなペットを家族の一員として迎えるのもよいでしょう。

できれば、犬や猫のように、撫でて互いにオキシトシンが分泌できるような動物がよいと思います。

 

ペットが飼えるかどうか自信が持てない人は、犬や猫などと触れ合えるカフェなどで一度交流してみるとよいでしょう。

 

犬を飼うと基本的には毎日、散歩するようになるでしょう。

愛犬と一緒に散歩することが習慣になれば、運動量が増えてミルキング・アクションが活発になり、散歩中に五感も刺激されるので、脳の活性化につながります。

 

散歩で知り合った人たちとの交流も、脳活性の一助になります。

 

また、犬にとっても、散歩は認知症の予防につながるそうです。

ヒトに飼われている動物は長生きなので、認知症リスクも高まります。

その予防に散歩が有効なのです。

 

将来的に、AI内臓でコミュニケーション力が高く、本物そっくりの毛並みを再現した精巧なペット型ロボットが登場したら、認知症患者さんを癒したり、認知症予防に威力を発揮したりするのかもしれません。

 

※ポイント 動物好きならペットを飼ってアニマル・セラピーの効果を得ましょう

「一生ボケない習慣 より」

 

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心の病との関連で関心を集めているストレスホルモンが「コルチゾール」です。

コルチゾールは、副腎から分泌されると、血液にのって体内を循環しながら、エネルギー源の補充などの重要な役割を果たします。

役割を終えると脳にたどり着いて、脳に吸収されます。

これが、正常なストレス反応の流れです。

 

ところが、主に「我慢するストレス」状態が長い期間にわたって続き、ストレスが積み重なっていくと、コルチゾールがとめどなく分泌され続けるようになってしまいます。

こうなると、状況が一変します。

コルチゾールが脳にあふれて、その一部をむしばんでいくのです。

まさに、ストレス反応が暴走して、ありふれたストレスが「キラーストレス」と化してしまうのです。

 

副腎が疲れている人に圧倒的な足りない栄養素は、ビタミンB群になります。

ビタミンB群は、抗ストレスホルモンを合成するときに必要な栄養素です。

そのため、ストレスが多く抗ストレスホルモンを大量に必要とする人などは、体内のビタミンB群が不足しがちになります。

その結果、抗ストレスホルモンが十分につくれなくなり、副腎がますます疲れてしまうのです。

 

また、ビタミンB群は、体を動かすエネルギーをつくりだすためにも必要な栄養素。

私たちの体を構成している細胞には、ミトコンドリアというエネルギー生成工場があり、摂取した食べ物を燃焼させて、「ATP(アデノシン三リン酸)」というエネルギー物質をつくっています。

このATPをつくり出す過程で必要なのがビタミンB群です。

ビタミンB群が不足すると、ミトコンドリアATPが十分につくれなくなる。

ATPが足りなくなると、体がだるくて疲れが取れなくなったり、頭の回転が悪くなってきたりします。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/