第3章 恐ろしい歯周病の兆候をとらえる
第3章 恐ろしい歯周病の兆候をとらえる
歯を失う理由は、スバリ「歯周病」と「虫歯」(う蝕)です。
2018年に全国2345の歯科医院で行われた「第2回永久歯の抜歯原因調査」では、その割合は歯周病が約37.1%で、虫歯が約29.2%。
この2つで全体の3分の2を占めています。
若い世代では、虫歯で歯を失う人が多く、40代から歯周病で歯を失う人が急激に増えてくるという特徴があります。
20代以降では3人に2人が歯周病の疑いがあるとされています。
認知症が気になる世代では、歯周病への警戒を怠らないことです。
原因となるし歯周病菌の活動により、歯を支えている組織に炎症などが起きる病気であり、歯を支える土台にダメージが及ぶと、虫歯でなくても歯が抜け落ちてしまいます。
虫歯のように痛むわけではなく、自覚症状が少ないのが歯周病の特徴です。
そのため、気づいたときにはすでに手遅れで、歯が抜けるケースも少なくないのです。
歯周病を起こす歯周病菌は、たとえ歯を失う原因にならなくても、アルツハイマー型認知症のリスクになるという話もあります(九州大学大学院の武須准教授らの研究)。
歯周病菌は口のなかだけではなく、歯茎から体内に侵入して血液を介して、全身を巡っています。
そして、炎症を引き起こす物質をたくさんつくり出します。
体内の免疫細胞は、この炎症を抑えようとしますが、歯周病菌に過剰に刺激され続けると、アルツハイマー型認知症を招くアミロイドβ(異常たんぱく質)をつくり出すようになります。
これまで体内でつくられたアミロイドβは、「血液脳関門」(血液中から脳組織への物質の移行を防ぐしくみ)で止められて、脳内には入ってこないと考えられてきました。
ところが、最近ではアミロイドβが血液脳関門をすり抜けて、脳内に入り込んでしまうことがわかっているのです。
マウスの実験では、歯周病菌を接種された中年のマウスでは、脳内でアミロイドβがおよそ10倍に増えて記憶力の低下が起こったそうです。
また、アルツハイマー型認知症の患者さんの脳で、歯周病菌がつくる炎症物質が見つかり、それによりアミロイドβの産生・蓄積が起こることもわかってきました。
※ポイント 記憶力を低下させるリスクが高い歯周病を未然に防ぐようにしましょう
「一生ボケない習慣 より」
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老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク(アミロイドβタンパク)合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、タンパク(アミロイドβタンパク)合成と核酸(DNA)合成の両方に深く関わっています。
ビタミン欠乏症が原因で、認知症になるケースがあるそうです。
ビタミンが欠乏すると、記憶障害、無気力、集中力の低下、妄想、錯乱の症状がみられるようになります。
東京武蔵野病院 副院長 田中信夫先生によれば、認知症患者の血中ビタミンB12は、通常の人より少ないそうです。
認知症の方に、ビタミンB12を投与すると、ボケ症状、特に感情障害、夜間せん妄、意欲、自発性の障害などの精神障害が軽くなるといわれています。
ビタミンの種類は、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸。
ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
現在60歳以上の人の20パーセントでビタミンB12の欠乏が見られということです。
これは歳をとると胃の機能が低下し、内因子の分泌が低下するからです。
長寿のためには、動物性食品を控えた方が良いという事ですが、一方では動物性食品を摂らないことからビタミンB12を摂取できなくなる恐れがでてきます。
また、高齢者が理由のはっきりしない神経症状を呈したら、ビタミンB12の欠乏を考えるべきだという学者もいます。
主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。
加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。
ビタミンB12について?