第3章 卵はコレステロールを怖がらずに食べていい

第3章 卵はコレステロールを怖がらずに食べていい

 

5大たんぱく源のなかでも、いちばん手軽に食べられるのは、卵でしょう。

生卵・ゆで卵・目玉焼き・オムレツ・温泉卵と、いろいろな食べ方ができるうえに、飽きません。

 

私も毎朝、目玉焼きを食べるのが、長年の習慣になっています。

 

卵は、たんぱく質以外にも、ビタミンA・ビタミンB群・ビタミンD・鉄・カリウムといった必須の栄養素が含まれており、「完全栄養食」とも呼ばれています。

 

また、卵黄に含まれる「レシチン」は脳内で神経細胞が情報をやりとりするときに使われる「アセチルコリン」の原料でもあります(レシチンは、大豆・大豆食品にも含まれています)。

 

アルツハイマー認知症では、このアセチルコリンの減少が確認されています

 

 

たんぱく質が足りていない患者さんに、「卵なら栄養豊富でたんぱく質もとれますよ」とすすめると、「卵はコレステロールが心配だから、あまり食べたくありません」とおっしゃる人もいます。

 

中高年には、コレステロールにネガティブなイメージを持つ人が多いようです。

その多くは、卵のように食事から体内にとり入れるコレステロールと、血中のコレステロールの混同から起こる誤解なのです。

 

そもそもコレステロールは、私たちの身体に必要不可欠な栄養素です。

体内の細胞を包む「細胞膜」をつくったり、各種ホルモンの原料となったりしています。

 

このため、必要量のおよそ8割は、肝臓でつくり出されているのです。

 

食事からとったコレステロールが多くなると、肝臓でつくる量を減らして調整します。

ですから、卵のようにコレストロールが多い食品をとっても、血中のコレステロール値が跳ね上がることはないのです

 

 

卵とコレステロールに関して、私には次のような父の思い出があります。

 

父は医者になりたての頃、卵を食べると本当に血中のコレステロール値が高くなるのか、自分の身体で実験することにしました。

そこで、ゆで卵を1日に18個食べてみたそうなのです。

いまから100年ほど前の話ですが、1日に卵を18個も食べるなんて、ずいぶん荒っぽい実験です。

 

どのくらいの日数食べ続けたのか、詳しい話は聞きそびれました。

おそらく1週間くらいは、続けたのではないでしょうか。

結果的に、血中のコレステロール値は、上がらなかったそうです

 

父が身をもって明らかにしたように、健常者が卵を毎食1個ずつ食べるくらいなら、血中のコレステロール値を気にしなくても大丈夫なのです(健康診断で「脂質異常症」が疑われる人は、卵の摂取については主治医に相談してください。また、「家族性高コレステロール血症」という遺伝性の難病では、例外的にコレステロールを含む食品の厳格な制限が求められるのでご注意ください)。

 

※ポイント 好物ならば完全栄養食の卵を毎食1個食べましょう

「一生ボケない習慣 より」

 

*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*

 

物忘れとは、脳は、体の機能全般をコントロールしている司令塔ですが、加齢とともにその働きは衰え物忘れの症状が出てきます。

脳血管の動脈硬化を放っておくと、血液循環が悪くなって脳細胞の動きが低下し、記憶力や思考力などが鈍り物忘れがはじまります。

40歳を越えた頃から「ど忘れや物忘れが激しくなった」「人の名前がなかなか思い出せなくなった」などと物忘れを感じるようになるのは、脳機能低下のあらわれです。

脳の神経細胞は約140億個といわれ、25歳を過ぎると1日に10~20万個ずつ死滅していきます。

死滅した神経細胞は再生されず物忘れもひどくなります。

しかし、死滅した神経細胞は元に戻らなくとも、神経の通り、すなわちネットワークをよくすれば、低下した機能を補い、さらには高めることができ物忘れも改善されます。

 

物忘れに関する神経伝達物質の中で記憶と学習にかかわっているのはアセチルコリンで、このアセチルコリンはコリンと酵素を原料にしてつくられています。

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

なお、レシチンアセチルコリンに合成するには、ビタミンB群が欠かせないため、同時にとることが望ましいのです。

アルツハイマー認知症の患者の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。

ビタミンB12は、主に動物性食品にしか含まれないというビタミンなので、野菜中心の食生活の人や、ダイエットをしているなど食事の量が少ない人は、ビタミンB12を補った方が良いとされています。

加齢、胃の病気、ストレスなどでも不足します。

さらに、ビタミンB12や葉酸をはじめとするビタミンB群は、ミネラル、アミノ酸などの栄養素と協力し合っているため一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/