第6章 「糖尿病性認知症」を血糖コントロールで防ぐ

第6章 「糖尿病性認知症」を血糖コントロールで防ぐ

 

糖尿病の3合併症は、キノコになぞらえて「しめじ」と呼ばれます

 

いずれも、毛細血管のような細い血管が、「高血糖」「血糖値スパイク」のダメージを受けて発症するので、「極小血管障害」とも呼ばれます。

 

「し=糖尿病神経障害」「め=糖尿病網膜症」「じ=糖尿病腎症」、糖尿病をよく知って「しめじ」を予防しましょう

 

 

糖尿病の3台合併症でダメージを受けるのは、毛細血管などの細い血管でしたが、動脈などの大きな血管が、「高血糖」「血糖値スパイク」でダメージを受けて生じる合併症もあります。

これを「大血管障害」といいます。

 

大血管障害もキノコになぞらえて「えのき」と呼ばれます

足病変などによる「え=壊疽」、脳梗塞などの「の=脳卒中」、狭心症心筋梗塞などの「き=虚血性心疾患(心臓病)」です

糖尿病足病変で足を切断する人は、年間3000人以上に達します。

そして、すでに触れたように、動脈硬化から生じる脳卒中と心臓病は、日本人の死因トップ5の一角を占めているのです。

 

さらに糖尿病の新たな合併症の存在も明らかになってきました。

それが他ならぬ、認知症なのです。

東京医科大学高齢診療科の羽生春夫特任教授は、「糖尿病性認知症という新しい概念を提唱しています。

 

羽生先生によると、糖尿病性認知症は、罹患歴が長く、やや高齢の糖尿病患者さんに多く見られます。

認知機能の低下は見られるものの、アルツハイマー認知症で見られるようなアミロイドβ(異常たんぱく質)の蓄積や、脳血管性認知症で見られる脳血管の異変も認められないとしています。

 

もの忘れのような記憶障害よりも、注意・集中力の障害、料理を段どりよくできないといった実行機能障害が多く起こるという特徴があるそうです。

 

 

認知機能低下の引き金と考えられるのが、糖代謝異常にともなう神経障害です。

関与が疑われるのが、「タウたんぱく」です。

 

タウたんぱくは、脳内で生じるたんぱく質の一種で、再三出ている「アミロイドβ」の仲間のような存在です。

 

糖尿病だと、アミロイドβがそれほど蓄積していない段階であっても、タウたんぱくが増えてきて認知機能が低下します。

 

認知症に予防薬・治療薬はありませんが、糖尿病性認知症に関しては、高血糖や血糖値スパイを避けて、血糖コントロールをきちんと行って糖代謝が改善できたら、その発症の予防が期待できます

 

これは朗報だと思っています。

この朗報を活かすためにも、自分の血糖値を正しくモニタリングして、糖尿病かその予備軍であると疑われたら、早め早めに血糖コントロールを始めるようにしてください。

 

それは糖尿病による合併症を防ぐために役立つことはもちろん、将来の認知症リスクを下げることにもつながるのです。

 

※ポイント 血糖値を基準値の範囲に収めて、糖尿病性認知症を未然に防ぎましょう

「一生ボケない習慣 より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/