第6章 「カロリー制限」か「糖質制限」を続ける
血糖値の基準から外れたり、食後高血糖や血糖値スパイラルが疑われたりしたら、血糖値を基準値の範囲内に収めるように「血糖コントロール」をしましょう。
血糖コントロールをするには、大きく分けて2つの食事法があります。
それは「カロリー制限」と「糖質制限」です。
カロリー制限は、糖尿病のベーシックな食事療法で、日本糖尿病学会が正式に認めている方法です。
カロリー制限では、体格に応じて必要以上のエネルギーをとりすぎないようにします。
1日の適正なエネルギー摂取量は、目標とする体重(目標体重)を基準に、どのくらい活発に活動しているかを示す「身体活動レベル」に応じた「エネルギー係数」で決められます。
目標体重が重くなるほど、そして同じ体重なら活発に活動しているほど、1日の適正なエネルギー摂取量は増えるのです。
◎1日のエネルギー摂取量(kg)=目標体重(kg)×エネルギー係数(kcal/kg)
目標体重(kg)は、BMIを踏まえて、65歳未満なら「身長(m)×身長(m)×22」、65歳以上は「身長(m)×身長(m)×22~24.9」で計算します。
<目標とするBMIの範囲(18歳以上、男女共通)>
◎18~49歳 18.5~24.9
◎50~64歳 20.0~24.9
◎65~74歳 21.5~24.9
◎75歳以上 21.5~24.9
※死亡率が低いBMI22のときの体重を、「目標体重」(理想体重)と呼びます。
身体活動レベルに応じたエネルギー係数(kcal/kg)は、大部分が座位の静的な活動から「25~30」、座位中心でも通勤・家事・軽い運動を含むなら「30~35」、力仕事や活発な運動習慣があるなら「35~」となっています。
自分の目標体重と身体活動レベルから、1日の食事からとるべき適正なエネルギー摂取量を計算しておきましょう。
仮に、身長165cmで65歳未満の人が、大部分が座位で静的な生活をしているなら、1日の適正なエネルギー摂取量は1500~1800kcal前後。
同じく身長165cmで65歳以上の人が、大部分が座位の静的な生活をしているとしたら、1日の適正なエネルギー摂取量は1500~2000kcal前後となります。
摂取するエネルギーの中身も重要です。
食べてエネルギー源になるのは、「糖質」「たんぱく質」「脂質」の3大栄養素だけ。
それぞれから、どのくらいのカロリーを得ているかの比率を「エネルギー産生栄養素比率」といいます。
1日のエネルギー摂取量の40~60%を炭水化物からとり、食物繊維が豊富なものを選びます。
たんぱく質は20%以下。
残りを脂質からとるべきだとされていますが、脂質の割合が25%をこえる場合は、肉の飽和脂肪酸を減らすなど、脂肪酸の組成も考えましょう。
この割合は、日本人の平均的な食事内容とほぼ同じです。
ちなみに「糖質」と「炭水化物」は混同されやすいのですが、似て非なるものです。
「炭水化物=糖質+食物繊維」と考えるとわかりやすいでしょう。
食物繊維は、よく見聞きする言葉だと思いますが、それはヒトが持っている消化酵素では、分解も吸収もできない食物中の繊維質のことです。
一部は大腸まで届いて腸内細菌に分解されますが、エネルギーとして利用される割合はきわめて小さいので、実質的にエネルギーになるのは糖質と考えていいでしょう。
エネルギーにはなりませんが、「ビタミン」「ミネラル」も不可欠の栄養素です(糖質・たんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルは「5大栄養素」と呼ばれます)。
そこで糖尿病の患者さんには、必要な栄養素が偏りなくとれるように、きめ細やかな指導が求められます(これ以上の詳細はここでの予備範囲から外れるので、割愛します)。
※ポイント まずは正しいエネルギー摂取量の計算方法を知っておきましょう
「一生ボケない習慣 より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?