第2章 「教えを乞う」で、ハツラツ脳は悩んで、進化する

第2章 「教えを乞う」で、ハツラツ脳は悩んで、進化する

 

「やってみなきゃ、わからない」は、世代を問わず、人生の進化の原動力になるメンタリティです。

さらに医学、物理学、化学のほか、さまざまな学問の進化の源でもあります。

経済活動についても同様です。

 

「やってみなはれ」

 

松下電器産業(現パナソニック)の創業者・松下幸之助の言葉ですが、このマインドが同社の繁栄を築いたともいえるでしょう。

 

70代、80代でこれを実践して、なにがしかの成果、達成感を得ようと思うなら、忘れてならないことがあります。

 

 

・「わからない」と素直にいう

・わからないことは教えてもらう

 

 

何度も述べていますが、新しいことへのトライがハツラツ脳維持のキーワードなのですが、「トライ&エラー」の言葉通り、失敗はつきものです。

 

失敗の後、いくら検証・修正を試みてもうまくいかないことがしばしばあります。

しかし、そこでトライをやめてしまえば、進化は止まります。

言い方を変えれば、脳にラクをさせてしまうことになります。

 

たとえば、あなたのトライがピアノの習得だとしましょう。

うまく演奏できない場合には、ピアノの上手な人に教えてもらうのが上達の近道です。

ゴルフ、テニス、将棋、囲碁、盆栽、家庭菜園などの趣味も同様です。

 

考えてみれば簡単なことなのですが、歳を重ねれば重ねるほど、この「教えを乞う」ということをためらう人、素直にできない人も多くなります。

 

趣味などにおけるトライであれば、死活問題というわけではありませんから差し当たって困りませんが、セカンドステージの仕事となれば、そうはいきません。

自分のキャリア、スキルといった「昔取った杵柄」が役に立たないのですから、「教えてください」と素直に教えを乞う姿勢が求められます。

 

 

初心者、素人の自分を謙虚に受け入れる

 

プライドが邪魔になるのかもしれませんが、収入を得るための障害になるようなプライドなど何の役にも立ちません。

 

教えを乞うことは、恥ずかしいことでも、軽蔑されることでも、人格を否定されることでもありません

そう感じることこそ、ヨボヨボ脳のなせるワザと考えてみましょう

 

ただただプライドの高い高齢者は、若い世代に疎まれる存在です。

 

逆に素直に教えを乞うことのできる高齢者は、若い世代に慕われます。

若い世代とのコミュニケーションが円滑になれば、仕事以外のことでも教えてもらえることも増えますし、逆に自分が教えを乞われるシーンも出てくるはずです。

 

そうなれば、愉快で上機嫌な時間を過ごせますし、結果としてハツラツ脳維持には役立ちます。

 

HONDA(本田技研工業)の創業者・本田宗一郎は、「世界のホンダ」に育て上げてからも、製品開発の現場で生きるべく大学で学びました。

自らの知識湯やスキルに限界を感じたからでしょう。

 

まさに「教えを乞う」メンタリティを失わなかったのです。

おそらく、大学での時間、彼のハツラツ脳はさらに「悩んで」、そして喜びで躍動していたはずです。

 

晩年は「若い人の提案することが理解できなくなった」という趣旨の言葉を残して、現場から身を引きました。

しかし、これも考えてみれば「理解できない」と客観的に理解していたわけですから、ハツラツ脳はまだまだ健在だったといえるでしょう。

「いつまでもハツラツ脳の人 より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

 

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/