第2章 ハツラツ脳の人は、こうして頭を柔らかく使う

第2章 ハツラツ脳の人は、こうして頭を柔らかく使う

 

「分別」が、トライしない「言い訳」を生む

 

どんな人でも、60代、70代になれば、いわゆる「分別」が身についてくるものです。

この分別は、一般的には美徳として考えられていますが、その一方で、新しいものへの好奇心を抑制してしまうこともしばしばあります。

 

この分別があまりに強く働くと、現状に満足しているわけでもないのに、「たいていのことは想像できる」「この年になって、みっともない」「たかが知れてる」などと、新しいことへのトライを避けることが多くなります。

 

こうしたスタンスは、自分の培ってきた経験則によって出来上がったものですから、全否定するつもりはありません。

さまざまなシーンで難しい選択を迫られたとき、分別が功を奏することもあります。

 

しかし、この分別はしばしば、新しいことを試みようとしない「言い訳」になってしまうことも事実です。

たとえば、自分にとって未知のことに対して、いくらかでも興味を感じているにもかかわらず、分別という名の言い訳で一歩足を踏み出さないこともあります。

じつにもったいないことです。

脳が反応して行動を促しているのに、実際に体を動かさないのでは、それはある意味で老化現象ともいえます。

 

それが繰り返されていけば、トライと行動によって得られるはずの脳への新しい刺激や新しい情報のインプットも閉ざされてしまいます。

これまで挑戦したことのない驚き、感動、疑問、発見の機会がなくなれば、次第にヨボヨボ脳になっていくといっていでしょう。

 

新しいことへのトライが、ときには落胆、悲しみ、後悔といった結果を招くこともあるかもしれません。

 

しかし、それはこれまで生きてきた時間の中でもあったわけですから、トライそのものを否定する理由にはなりません。

もちろん、命を脅かしたり、生活を破綻させたりするようなことでないかぎりにおいてという条件は付きますが……。

 

さらにいえば、トライが成功しなかったとしても、そのプロセスにおいて脳を悩まことになるわけですから、少なくとも脳の活性化を促すことは確かです

いずれにせよ、新しいことへのトライはハツラツ脳の原動力といっていいでしょう。

「いつまでもハツラツ脳の人 より」

 

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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。

その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。

脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

 

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

 

レシチンアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。

とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。

そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。

 

また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。

B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。

神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/