第1章 脳の「出力系」を鍛える

第1章 脳の「出力系」を鍛える

 

「アレ」「ソレ」「コレ」を使わない

 

普段何気なく使っている

「アレ」「ソレ」「コレ」の指示代名詞。

これらが会話のなかに多くなってきたら、

「脳のサビつき」「老化」の加速度が増している証拠

 

どうしても人の名前、モノの名前が思い出せない。

そんなときに“便利”なのが、「アレ」「ソレ」「コレ」といった指示代名詞。

家族との家のなかの会話では、「アレ、どこやったんだ?」「ああ、アレならアソコに置いてあったわよ」――で事足りてしまいます。

歳をとればとるほど「アレの名前が思い出せない」……と、指示代名詞頻発の会話になるのは致し方ないといえば致し方ありません。

しかしこれをただ放っておくのは問題です。

 

第一に、単語が出てこず指示代名詞に頼るのを「よし」として、「思い出そう」という努力を怠ることは、すなわち「思い出す=脳のアウトプット機能」を使わなくなることです。

脳の機能というものは、使わなければサビていく一方です――特に中高年以降は。

 

第二に、そもそも「アレ」「ソレ」「コレ」で会話が成り立ってしまう相手というのは、よく言えば「あうん」の呼吸の仲なのですが、ちょっと厳しい言い方をすれば、お互いすでに「新鮮味のない」「刺激のない」「惰性で付き合っている」関係ともいえます。

 

このような関係の付き合いのなかでは、前頭葉を使う機会もありません。

「アレ」「ソレ」「コレ」頻発の会話には、こうして知らず知らずのうちに老化への加速度をアップさせてしまう危険が潜んでいるのです。

 

 

わからないことは素直に尋ねる

 

出力系を鍛える最も簡単な方法は“誰かと話すこと”。

「記憶が曖昧だから間違ったことを言いそう」

「こんなことは今さら人に訊けない」

――そんな心のバリアは今すぐ取り払おう

 

歳をとると無口になり、それが老化を加速させるのであれば、その「無口」を改善させるのがアンチエイジングのもっとも手っとり早い方法です。

もっともすでに無口になっている方には「それは難しい」と思われるかもしれません。

ではなぜ、難しいのでしょうか――。

無口になったのは、脳のインデックス(検索)機能が衰えて、記憶が曖昧になったり思い出せなくなったりしたため、あるいは、人と話すと、自分の知らないこともたくさん出てきて話題についていけなくなるかもしれないと思ってしまうからでしょう。

 

しかし、歳をとってもハツラツとしている人というのは、自分の知らないことや知りたいことがあると、素直に「わからないから教えてほしい」と訊き、相手の説明に熱心に耳を傾けます。

そして、自分なりの経験や実績を積んできた人ほど、積極的に質問し、教えを乞います。

 

松下幸之助氏は晩年になっても、「自分にはわからないこと」があれば、初歩的なことでも自分の孫ほどの年齢の技術者や研究者に、徹底的に聞いたといいます。

 

こんなことを言ったら、こんなこともわからなかったら、こんなことを訊いたら「恥ずかしい」――そんなプライドは捨て去って、「わからないことがあったら、訊けばいい」という気持ちでとにかく人と話してみること。

これが出力系を鍛えることに直結するのです。

「50代からはじめる老けない人の「脳の習慣」 より」

 

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物忘れに関する神経伝達物質の中で記憶と学習にかかわっているのはアセチルコリンで、このアセチルコリンはコリンと酵素を原料にしてつくられています。

ビタミンB12は、アセチルコリンを活性化して神経伝達をスムーズに行う働きをもっています。

 

また、アルツハイマー認知症の患者の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。

アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。

アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。

同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。

通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。

レシチンは、とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。

血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。

「脳の栄養素」と呼ばれるレシチンを多く含んでいる食品の代表は「卵黄」です。

 

老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。

この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。

ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。

新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。

その結果若さにもつながると考えられます。

 

ビタミンB12について?

https://www.endokoro.com/