降圧剤の飲用によって血圧が低すぎると、血液は体内を十分に循環しにくくなります。
その結果、立ち上がったときにふらついたり、ボーッとした表情を浮かべたりするようになります。
高齢者の中には、急に元気をなくしてしまうケースが少なくないのですが、その原因の中には低血圧、低血糖が含まれているのですから、注意が必要です。
低血糖の場合は、その度合いが深刻になると認知症のリスクが高まることも明らかになっています。
脳の栄養源はブドウ糖をはじめとする糖類ですが、それが不足気味になるのですから脳細胞に打撃を与えかねません。
盲信的に血圧や血糖値の低いことを求めるのは、あまりにも危険なのです。
同じことがコレステロールにも当てはまります。
「コレステロールが高いですね」と聞いただけで「エーッ」と顔を曇らせる人が少なくありません。
コレステロール値が「高い」ことを知らされると病気になったか、病気の前兆のように思ってしまう人が多いのです。
「コレステロール悪玉説」がすっかり定着しているのですが、その論拠はアメリカから伝わりました。
わが国では、疾病による死亡原因のトップはがんで、現在はおおよそ3人に1人はがんで亡くなっています。
一方、アメリカではがんによる死亡は比較的少なく、心疾患が長らく死亡原因のトップになっています。
そのアメリカでは、一時コレステロールは「悪」という烙印が押され、肉類や乳製品などのハイカロリーの食品を控え、代わりに野菜などを摂取する動きが広まりました。
たとえばアメリカ国内では1990年代から「5A DAY」という食に関する運動がはじまりました。
これは毎日5皿以上の野菜と果物の摂取を推奨する政策で、当初、アメリカ国内では、その運動の定着や継続を疑問視する見方が少なくありませんでした。
ステーキやハンバーガー、ホットドックなどの肉類が大好きなアメリカ人が好んで野菜を毎日食べるか?
と思われていたのです。
ところが運動がはじまってしばらく経過すると、野菜、果物、豆類などの摂取量が増加し、相対的に肉類の消費の伸びは抑えられました。
コレステロールを抑える施策が徐々に成功していったのです。
コレステロール不足でヨボヨボ脳に
健康問題に関するアメリカのこういう動きが日本にも取り入れられ、「コレステロールは減らしたほうがいい」というコンセンサスができあがったのです。
問診の際に、コレステロール値が高いと「肉は控えめに、タマゴは1日1個で」という食事指導が当たり前のように行われていました(もしかしたら、現在も続いているかもしれません……)。
人体をビルにたとえると、コレステロールは建物に欠かせない鉄骨やコンクリート、壁材などの材料になります。
人体はおよそ66兆個という膨大な数の細胞によって形成されていますが、その細胞膜はコレステロールによって作られています。
また脳細胞や神経細胞をはじめ、各種のホルモンやビタミンDなど生命維持に欠かせない組織の生成にもコレステロールは欠かせません。
加齢によって、これらの体の“部品”は消耗し、本来の機能を果たしづらくなってきます。
それを予防するには「あえて」コレステロールが含まれている食品を摂ることが重要なのです。
コレステロールを控えすぎれば、当然脳もダメージを受け、ヨボヨボ脳になるきっかけになってしまいます。
コレステロールとともにタンパク質も健康維持には欠かせない栄養素ですが、これらを含む肉類の摂取が日本人は決定的に少なすぎます。
ちなみにアメリカ人の肉の摂取量が1日300グラムに対して、日本人は80グラムに過ぎません。
きちんと食べることが重要なのです。
「いつまでもハツラツ脳の人 より」
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血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
たとえば、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化の原因になるということを聞いたことがあるかもしれません。
LDLコレステロール(以下LDL)が血管にへばりついて、プラークと呼ばれるこぶを血管の壁に形成していくのです。
でも、LDLには2種類あることをごぞんじですか?
それは、酸化したLDLと酸化していないLDLです。
LDLの中でも血管に悪さをしていたのは、実は酸化LDLだったのです。
ということは、血管を酸化から守るシステムがしっかりできていれば、酸化LDLは血管に付着しづらくなる。
それが血管老化を防ぎ、血管強化につながるということです。
この、血管の酸化を抑えてくれるのが、実はビタミンなのです。
ビタミンの中でも特に大事なビタミンが、ビタミンCとビタミンEです。
ビタミンCとビタミンEの抗酸化力は、非常に強力です。
心筋梗塞を起こした患者さんのグループが正常のグループよりも血中のビタミンC、ビタミンEの濃度が低かったとする報告もあります。
この2つのビタミンに、ビタミンAを加えた3つのビタミンは、いずれも抗酸化力が強く、ビタミンACE(エース)と呼ばれています。
そしてもうひとつ忘れてはいけない大事なビタミンがあります。
それはビタミンBです。
ビタミンBにはいくつかの種類があり、ビタミンBグループとして存在しています。
ビタミンBの抗酸化力は強くありませんが、細胞のエネルギー産生やエネルギー代謝を効率よくするためにはなくてはならないビタミンです。
体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
また、ビタミンBは8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンB12について?