「一過性脳虚血発作(TIA)」を「不幸中の幸い」ととらえる

イメージ 1
「一過性脳虚血発作(TIA)」を「不幸中の幸い」ととらえる
 
 TIAを自覚したときには、「神経内科」や「脳外科」など、脳卒中の専門医がいるところに行くべきです。
 
たとえば、「右手足の脱力」を心配して、診療所を受診する人がいます。
しかし、TIAの場合、受診したときにはすでに症状は消えています。
このため医師も、
「すぐに良くなったので、心配ありません。様子を見て、また症状が現れたら来てください」
となる。
それが怖いのです。
 
“また症状があったら”と医師は言いますが、そのときでは遅いのです。
 
目の症状も同じで、TIAでは、急に片目が見えなくなって、すぐに戻る。
突然、視野の半分が欠けて、しばらくしたら元に戻った。
で、症状は消えたけど、心配だからと、目の症状なのでほとんどの人が眼科を受診してしまいます。
 
TIAはそのときには症状がないために、どんな状態だったのか、問診のみで判断するしかありません。
診察してもそのときに神経所見に異常は認められないのです。
 
眼科医も、近年ではTIAの認識が高まり、一過性黒内症(一過性片眼盲)の患者さんをずいぶん神経内科に紹介してくれるようになりました。
しかし、時間のロスがあるわけです。
眼科で待たされ、神経内科で待たされ、と時間が経つうちに、運が悪いと、その間に本格的な脳梗塞を起こす人もいます。
 
TIAは前兆ではなく、実際は、そのとき「脳梗塞」と同じ状態が起こっていたのです。
症状が消えたのは、治ったからではなく、次の大噴火に備えて、小休止しているだけなのです。
 
それを正しく判断できるのが専門医です。
 
明らかにTIAの症状があったのなら、救急車を呼ばなくてはなりません。
研修医には発症後早期のTIAの患者さんがいたら、「首に縄をつけてでも、自宅に帰してはいけない。緊急入院させて直ちに精密検査しなさい」と指導してきました。
 
TIAは「動脈硬化」が原因なので、専門医は血栓を防ぐ抗血小板薬やプラークを安定化させるスタチンを投与します。
このように正しい見極めをし、早期に治療を始めることが大切なのです。
 
TIAについては「不幸中の幸い」という見方もあります。
TIAを起こした人は、それ以降、専門医によって危険因子を厳格に管理し、抗血栓療法も受けるため、本格的な脳梗塞にならない確率が高まるからです。
脳卒中にならない、負けない生き方 より」
 
*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*+*
 
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因の多くが脳梗塞です。
脳梗塞は、初期段階に数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現します。
これが隠れ脳梗塞と呼ばれるものです。
隠れ脳梗塞は早い人だと30代から表れ、40代を過ぎると急に増加すると言われています。
 
人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
 
ビタミンB12には、脳の血流をよくするとともに、脳神経の働きを改善あるいは促進する作用があります。
同時に、動脈硬化の原因となるホモシステイン活性酸素(ふえすぎると体に害を及ぼす非常に不安定な酸素)を除去する働きも持っています。
ビタミンB12は、ストレス社会に生きる現代人のこれからの健康に役立つ栄養素です。
 
ちょっと使える身近な情報をお届けしています!