“幹線道路”を太く頑丈にすれば、脳回路のつながりがよくなる

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“幹線道路”を太く頑丈にすれば、脳回路のつながりがよくなる
 
デフォルトモード・ネットワークは、“自分を立て直すためのシステム”です。
 
たとえば、失恋したときは、涙を流したり、おいしいものを食べたりして、なんとか気持ちを切り替えることで“いつもの自分”に戻ろうとします。
スポーツ選手はスランプに陥ったとき、“自分にとっての基本”に返って出直しをはかろうとします。
これと同じように、デフォルトモード・ネットワークは、わたしたちが不調やスランプに陥って自分を見失いそうになったときに、“いつもの自分”“自分にとっての基本”に返って態勢を立て直す役割を担っているのです。
 
考えてみれば、人の一生は試行錯誤の連続です。
チャレンジをしなければ何も始まりませんが、チャレンジをすれば成功も失敗もします。
そして、失敗をして、挫折をしたり迷ったりしたときには、そのたびに自分の基本に返って、態勢を立て直して再び立ち上がっていく。
わたしたちは、そうやって幾多の経験を積みながら一歩一歩成長していくものではないでしょうか。
 
脳回路の成長もこれと同じだと思います。
 
そもそも、脳回路を成長させる原動力は、わたしたちが日々脳にインプットしている刺激でする
いろいろなことにチャレンジして成功や失敗を繰り返しつつ、多くのことを学んだり経験したりしていると、その刺激によってシナプスという“手”を伸ばす力が高まって、脳の回路を太くしたり新たな回路をつくったりするようになるのです。
 
 これを道路網にたとえるならば、学びや経験の刺激を受けるたびに「道をつなごう」「道を太くしよう」「新たな道をつくろう」といった成長力が高まって、少しずつ道路のアクセスがよくなっていくようなもの。
つまり、わたしたちの脳内の道路網は、さまざまなチャレンジをして多くのトライ&エラーを繰り返すことによって日々を成長しているのです。
 
 こうした脳内の道路網を成長させていくためにもっとも重要なのが「デフォルトモード・ネットワークという幹線道路がしっかりしていること」だと捉えています。
 
デフォルトモード・ネットワークという幹線道路が太くて頑丈にできているということは、自己の基盤がしっかりしているということ。
「自分はこの道を行くんだ」「自分はこれを追い求めていくんだ」といった揺るぎない意思があるということを示しています。
しかも、デフォルトモード・ネットワークは“自分を立て直すためのシステム”でもあるわけですから、そのシステムが頑丈だということは、「ちょっとやそっとのことでは挫けずに、何度でも立ち上がってやる」といったタフさがあることにもなります。
 
それに、そんなふうに自分の基礎がしっかりしていれば、人は失敗を恐れずに積極的にたくさんチャレンジをすることがでます。
だから、デフォルトモード・ネットワークがしっかりしている人は、多くのチャレンジやトライ&エラーを繰り返しながら、脳回路を成長させることができるのです。
 
言わばこれは、「自分をよくしていこう」とする幹線道路が太く頑丈につくられているために、あちこちでチャレンジという“道路工事”がさかんに行われているようなもの。
そして、そうした“道路工事”によって道が連結したり新設されたりした結果、全体のつながりがよくなって、太い幹線道路を中心としたアクセスのいい道路網が築かれていくのです。
 
おわかりいただけたでしょうか。
脳回路のつながりをよくするカギは、デフォルトモード・ネットワークを太くすること。
この“自分の基盤となる幹線道路”をどれだけ太く頑丈にできるかで、つながりのいい脳をつくれるかどうかが決まると言ってもいいのです。
 
※デフォルトモード・ネットワークは、文章を読んだり計算をしたりといった課題作業に取り組んでいるときには活動が低下して、何もせずにボンヤリとしているときに活動が高まっている回路。
デフォルトモード・ネットワークは、脳のアイドリング・システム。
アイドリングをしながら自分の置かれた状況をモニタリングして、“これまで自分が進んできた道”を振り返ったり、“これから自分が進もうとしている道”をイメージしたりしている。
待機時間を利用して、自分の行動や進路に間違いがないかどうかを確認する“自分モニタリング機能”を働かせている。
「脳の老化を99%遅らせる方法 より」
 
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 脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
 
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
 
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
 
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
 
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
あきらめずにチャレンジし続ければ、復活の日はいつか訪れるかもしれません。
 
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