第3章 俗説や通説と戦う姿勢をもとう

第3章 俗説や通説と戦う姿勢をもとう

 

「○○さんの本にはこう書いてあった。だからあなたの意見はまちがっている」

などと、ある一つの説を根拠に、それ以外の説は正しくないと決めつけるのはまったくナンセンスです。

 

私は10年ほど前から、本の読み方が変わってきました。

それまでは、いろいろな事象について正解と思えることを求めて本を読んでいました。

 

たとえば、フロイトよりもコフート精神分析が正しい、ケインズなどの古典的な経済学より行動経済学のほうが正しい、といった「正解」を知りたくて勉強していたのです。

 

でも、最近では、どれが正しいかではなく、「いろいろな説もある」と、ほとんどの説を受け入れられるようになりました。

 

精神科医が診療の現場で、「この人はこんな人」と一つの答えを出すのは、患者さんに対する決めつけにほかなりません。

実際にカウンセリングするときは、患者さんの話を聞きながら、相手がどんな人なのか、想定される可能性を10通りほど考えます。

 

そして、話が進むうちに、そのなかから「これはない」と思われるものを除外していき、可能性がしぼられていきます。

したがって、最初の段階でいろいろな可能性を考えられるほうが、より適切な診療ができるのです。

一つのことに対して「これが正しい」と決めつけることなく、いろいろな可能性を考えられる人のほうが、人間の幅が広く見えます

 

本を読むなど、インプット型の勉強を完全に否定するつもりはありません。

どれほど歳をとっても、新しいことを知る喜びは確実にあります。

ただ、そのインプットの喜びだけで終わってしまってはもったいないと思います。

 

たとえば、経済の本を読む場合、ただ新しい知識をありがたがって受け取るのではなく、「こんなふうに理屈どうりにいくかいな」と反論を試みるために読んでみてはいかがでしょうか。

いちゃもんをつけながら、著者を論破してやろうというくらいのつもりで読むほうがいいと思います。

 

俗説や通説と戦う姿勢をもつのは、とても大事なことです。

疑問に思うことについて、インターネットも駆使していろいろ調べてみると、戦うための材料が手に入ります。

そんなふうに、理論武装するためにインプット型の勉強をするということもあっていいと思います。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。

 

ビタミンB12について?

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第3章 知識に経験を交えながら議論する

第3章 知識に経験を交えながら議論する

 

2020年に96歳で亡くなった英文学者の外山滋比古さんと、晩年に雑誌で対談させていただく機会がありました。

「高齢者の勉強法」というテーマだったのですが、彼はのっけから「年寄りは勉強なんかしたらダメだ」と、バッサリ切り捨てていました。

 

いまや「知識人」という言葉は死語になりつつあります。

これからの時代は「知識人から思想家になろう」と提言していますが、彼も同じ考えでした。

 

たとえば、本を読んで勉強するということは、既存の知識をインプットするということでしかありません。

そして既存の知識はいまや、ほとんどが手のなかのスマートフォンにあります。

いくら勉強して既存の知識をインプットしたところで、それだけでは新しいものは生まれません。

知識をインプットする勉強のかわりに、彼が何をしていたかといえば、週に2、3回「口の悪い老人」を集めて、みんなで議論していたそうです。

それが彼にとっての「高齢者の勉強」ということだったのだと思います。

議論する、つまり知識を加工し、「自分の考え」としてアウトプットする――これを意識して行うことが、「賢い老人」になる有効な方法です

 

議論するのは、どんなことでもかまいません。

「世間ではこう言われているけど、それってどうなの?」ということについて議論すると、ユニークな高齢者になれるのではないかと思います。

ニュースを見て、当たり前の感想を言っているだけでは議論になりません。

 

たとえば、単身の高齢者が起こした凶悪事件について、「あんなことをするなんてひどいやつだ」と言い合っていてもしかたありません。

そこで、「高齢者が孤独感によって追いつめられる問題を、どうやったら解決できるのか」というところから議論を始めます。

何が正解とはいえないことなので、どんな意見でも出し合えます。

 

「高齢者が毎日通って、みんなでわいわい話せる巨大銭湯を地域ごとにつくったらいいんじゃないか」

「そうすれば、病院通いをして待合室でおしゃべりする必要がなくなるから、高齢者の医療費もだいぶ減らせるかもしれない」

 

という調子で、考えたことをどんどん話題に上らせていきます。

 

歳をとっているということは、これまでに学んできたことや経験がそれだけあるということです。

いろいろなことについて、知識をそのまま話すのではなく、自分たちの経験に溶かし込んで話せるのが、高齢者の価値であり強みです

 

たとえば、「格差がない社会は、競争意識が失われるため、人は働かなくなる。だから格差は必要だ」という論調に対して、「そうは言うけど、“一億総中流”だったころの日本人のほうが、よほど勤勉に働いていた。マラソンでも、自分の前を走っている人の背中が見えるうちは、追いつこうとして必死に走れるが、差がつきすぎて完全に見えなくなると、とたんにスピードが上がらなくなる。格差が小さいほうが、むしろ人は働くかもしれない」

 

と、かつての時代を知る人間が言えば、説得力が生まれます。

 

自分たちの経験を上手に交えながら議論し、「そうは言うけど、こうも考えられる」と言えるのが、高齢者のたしなみというものです。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

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第3章 常識的でないことこそが高齢者のおもしろさ

第3章 常識的でないことこそが高齢者のおもしろさ

 

歳をとるほど常識的なことを言いたがる傾向がありますが、当たり前のこと、常識的なことを言っているかぎりは「おもしろい老人」にはなれません。

常識的、あるいは道徳的な高齢者こそが「品のある人」だと思われがちですが、それは「ただの人」です。

 

私が常識にとらわれなく生きている老人のイメージとしているのが、タレントの高田純次さんです。

この高田さんが、こんなことを話していました。

「歳とってやっちゃいけないことは『説教』と『昔話』と『自慢話』」

けだし名言というべきです。

 

「年寄りの説教はおもしろくない」と若い世代に煙たがられるのは、高齢者が、言わなくてもわかっているようなことを言うからです。

同じ説教でも、たとえば瀬戸内寂聴さんの説教はほかの人と違うことを言っていたから、多くの人が聞きたいと感じたのです。

 

歳をとるということは、いまさら常識に縛られる必要がないということです。

さらにいえば、常識的でないことこそが、高齢者のおもしろさでもあります。

ただこれは、非常識な老人になれと言っているわけではありません。

 

いかにも賢そうに見えて、よく聞くと常識的なことしか言っていない人もいます。

一方で、支離滅裂に見えても他人と違うことを言おうと努力している人もいて、そういう人の存在感はやはり際立っています。

 

毒にも薬にもならないような、たんに物知りなだけの高齢者をめざすより、「みんなはそう考えているかもしらんけど、こうなんやで」と言える、誰とも違う見方をする「おもしろい高齢者」をめざしたほうが、魅力的だといえるのではと思います。

 

そのためには、自分の頭で考え、人が言っていないことを探す必要があります

 

どんなことでもかまわないのですが、ありきたりではない話、おもしろい話をすることを意識しましょう。

 

「これを知らないと恥ずかしい知識集」などというものを必死に読んでいる人もいますが、「知らないと恥ずかしいこと」とは、すなわち「誰でも知っていること」であって、そんなことを知る必要があるとは思えません。

それを知れば、ほかの人と違うことを探す参考になるかもしれませんが、そんなことに時間を使うくらいだったら、人が言っていないことをどう探すかを考えたほうがいいでしょう。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

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第3章 常識に縛られない、おもしろい老人になろう 物知り老人=賢い老人ではない

第3章 常識に縛られない、おもしろい老人になろう

物知り老人=賢い老人ではない

 

歳をとっても賢い人でありたいと思い、知識を蓄えるために熱心に本を読んでいる高齢者がよくいます。

日本では長いあいだ、物知りな人が賢いとされ、もてはやされてきました。

実際、メディアが未発達だった時代には、人生経験が豊富なぶん、いろいろなことを知っている高齢者が、賢い「村の長老」として尊敬されていました。

 

その風潮はいまも残っていて、テレビのクイズ番組で好成績を上げる物知りな芸能人は、「賢い人」というイメージをもたれます。

しかし残念ながら、時代は変わりました。

物知りな人が、いくら得意げに「みんなが知らない知識」を披露しても、目の前の相手が手のなかのスマートフォンで検索すれば、はるかに詳細な情報が瞬時に出てきます。

そんな時代になり、もはや物知りの価値は暴落しています。

 

認知心理学においては、知識が多いほど「頭がいい」わけではなく、その知識を使って推論できることが頭のよさであるとされています。

その加工能力が重視されるのです。

 

あまりにも知識が乏しいと、それを加工して生まれるものも限られてしまうので、物知りであることに越したことはないのですが、それ以上に大事なのが知識を加工する能力です

要するに、クイズ番組で強さを見せる高学歴のお笑い芸人が、本当に「頭がいい」のなら、それだけの豊富な知識を加工して、おもしろい漫才なりコントなりができているはずでしょう。

 

歳をとっても「頭のいい人」でありたいのなら、たとえば、テレビのニュース解説などに対して、「そうだったのか」と納得して終わらせず、そこで斜にかまえていかに人と違うことが言えるかを考えてみるのです。

知識をそのまま鵜吞みにするのではなく、自分の頭で考え、ときにはいちゃもんをつける感覚で自分の意見を述べる習慣をつけることが大事です。

 

テレビを観ながら、ニュースキャスターやコメンテーターが言うことに対して、あれこれいちゃもんをつけている高齢者が昔はよくいましたが、最近はあまり見かけなくなりました。

ほとんどの人が素直に「そうだったのか」と頷いているようです。

でも、それでは、当たり前のことしか言えない人になってしまいます。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。

 

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第2章 一人になったときの予行演習をしておく

第2章 一人になったときの予行演習をしておく

 

プロ野球の選手や監督として活躍した野村克也さんは、晩年に妻の沙知代さんに先立たれると目に見えて衰弱し、その後2年あまりであとを追うように亡くなりました。

 

あれほどパワーのあった人でさえ、配偶者を失ったとたんに弱りきってしまったのです。

それだけ夫婦仲が睦まじかったともいえるでしょう。

体が衰弱していたと報じられていましたが、高齢者の場合、うつ状態で食欲不振になると如実に体が衰えます。

孤独に対するリスクヘッジのようなことが、もしかしたらできていなかったのかもしれないとも思います。

 

高齢になって、現実に一人で暮らすようになる前から、孤独の楽しみ方を少しずつ覚えておくのがいいのではと思います。

たまに一人で過ごす時間をつくり、書斎にこもって本を読む、ユーチューブでバカバカしい動画を見る、オンラインで囲碁や将棋の対局をするなど、楽しいと思う過ごし方を見つけてみてください。

 

高齢になるほど、「孤独にだけはなりたくない」「認知症にだけはなりたくない」など、予期不安的な発想が強くなります。

打も、「認知症にだけはなりたくない」と思っていたとしても、いざ認知症になっても初期のうちは自分では気がつかないことが多いし、かなり重くなれば、自分がボケていることさえ認識できなくなります。

 

そう考えると、認知症になったことで本人が苦しむ時間はそれほど多くないともいえます。

不安に思っていたのにも実際になってみるとそうでもない、ということは案外多いのです。

 

日本人のよくない点の一つは、予期不安が強いわりに、実際にそうなった場合の対策を立てていない人が多いことです。

 

たとえば、「がんになりたくない」と言って、しょっちゅうがん検診を受けている人はよくいますが、実際にがんになった場合にどの病院に行くかを決めている人はほとんどいません。

「ボケたくない」と言っている人が多いわりには、認知症になった場合に、介護保険をどう申請して、どんなサービスを受けられるのかを調べて把握している人や、どの老人ホームに入るかを決めている人はめったにいません。

 

予期不安でビクビクして生きるくらいなら、もしそうなったらどうなるのかを「予行演習」してみたほうがいいと思います。

 

たとえば孤独の予行演習として、一人で旅をしてみるとか、ウィークリーマンションを1週間借りて一人で暮らしてみるとか、不安に思っていることが、実際にどの程度のものなのかを体感しておくと、「もしそうなったとしても大したことはない」と思えるようになります。

それが、自分自身の余裕を増やしてくれます。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

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第2章 健康診断の結果よりも長生きのために大切なこと

第2章 健康診断の結果よりも長生きのために大切なこと

 

病気があっても、それを抱えたまま幸せに生きる。

「病気とともに生きる」について、具体的に考えてみましょう。

 

まず、「認知症とともに生きる」です。

高齢者専門の医師が、認知症の患者さんの治療やケアでいちばん大事にしているのは、いまできることを、なるべく長く続けてもらうことです。

 

たとえば、料理ができる、運転ができるというのなら、それを可能なかぎり続けましょう。

いまできること、つまり残存機能をいかに維持するかが重要なのです。

 

認知症になると、できないことが少しずつ増えていきます。

そして残念ながら、できなくなったことがふたたびできるようになる確率は、きわめて低いのも事実です。

 

それよりも、「いま、まだできることは何なのか」に目を向け、それを大事にするほうが、はるかに意味があります。

 

残存機能を活かして、どう生きるかを考えてみてください。

とくに、認知症の初期の段階では、物忘れなどの生じる程度ですから、できることはかなりあります。

 

認知症になると、直近のことに関する短期記憶は失われやすいのですが、昔の経験などについての長期記憶は残るので、過去の経験を題材にした講演会などを行ったり本にまとめたりすることも可能です。

 

次に、「がんとともに生きる」です。

高齢者の場合、がんを取り除く手術をすると、手術そのものの負担で体力が大幅に落ちます。

胃がんなどの消化器系のがんであれば、切除することで栄養の摂取に障害が生じるため、手術がうまくいったとしても、そのあとはげっそりとなることがほとんどです。

 

高齢期のがんは「あったらあったでしょうがない」と思い、排除するより共存して生きることを考えたほうが、その後のQOL(生活の質)は高くなる、と確信しています。

長生きできるかという観点でも、高齢者のがんは一般的に若い世代のがんよりも進行が遅いので、がんになったままでも結果的にかなり長生きするケースはめずらしくありません。

 

そして、「生活習慣病とともに生きる」です。

血圧や高血糖コレステロール値を下げるために薬を服用したり、食生活を制限したりしている高齢者はたくさんいます。

 

何のために、血圧、あるいは血糖値やコレステロール値を下げることが推奨されているかといえば、多くは動脈硬化を予防するためです。

 

しかし、どんなに生活習慣に気をつけていたとしても、高齢になれば、ほぼ誰にでも動脈硬化が起こります。

そして、すでに動脈硬化が起こって血管の壁が厚くなったあとでは、むしろ血圧や血糖値はやや高めにしておかないと、酸素やブドウ糖が脳に行き渡りにくくなります。

 

高齢になったら、「高血圧や高血糖と共存する」と考えたほうが、よほど合理的です。

 

高齢になったら、健康診断の結果よりも、転倒しないことや、食事をしっかり摂ることのほうが、長生きをするうえでとても意味が大きいのです

 

「病気とともに生きる」が当たり前という発想になれば、老いを受け入れることも上手になります。

そもそも高齢者には、予期不安のようなもので本当の自分を押し殺している人が多いと感じます。

 

歳をとってすっかりしおれた印象の人、輝きがない人の多くはそうだと思います。

それはとてももったいないことだと感じます。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。

たとえば、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化の原因になるということを聞いたことがあるかもしれません。

LDLコレステロール(以下LDL)が血管にへばりついて、プラークと呼ばれるこぶを血管の壁に形成していくのです。

 

でも、LDLには2種類あることをごぞんじですか?

それは、酸化したLDLと酸化していないLDLです。

LDLの中でも血管に悪さをしていたのは、実は酸化LDLだったのです。

ということは、血管を酸化から守るシステムがしっかりできていれば、酸化LDLは血管に付着しづらくなる。

それが血管老化を防ぎ、血管強化につながるということです。

 

この、血管の酸化を抑えてくれるのが、実はビタミンなのです。

ビタミンの中でも特に大事なビタミンが、ビタミンCとビタミンEです。

ビタミンCとビタミンEの抗酸化力は、非常に強力です。

心筋梗塞を起こした患者さんのグループが正常のグループよりも血中のビタミンC、ビタミンEの濃度が低かったとする報告もあります。

この2つのビタミンに、ビタミンAを加えた3つのビタミンは、いずれも抗酸化力が強く、ビタミンACE(エース)と呼ばれています。

そしてもうひとつ忘れてはいけない大事なビタミンがあります。

 

それはビタミンBです。

ビタミンBにはいくつかの種類があり、ビタミンBグループとして存在しています。

ビタミンBの抗酸化力は強くありませんが、細胞のエネルギー産生やエネルギー代謝を効率よくするためにはなくてはならないビタミンです。

体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。

B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。

また、ビタミンBは8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。

 

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第2章 加齢を怖がる必要はない 根拠のない不安に振りまわされるのは不幸

第2章 加齢を怖がる必要はない

根拠のない不安に振りまわされるのは不幸

 

これからどんどん体が弱っていくのでは……。

 

いずれこんな病気になるのでは……。

 

そんなふうに、まだ現実に起こっていないことに対する「予期不安」のようなものを、多くの人が抱えています。

現代精神医学の世界では予期不安とは、パニック発作を一度経験して、あの恐ろしい発作がまた起きるのではないかという不安感が生じることを指します。

 

ただ、多くの人が、さまざまなまだ起こっていないことに対してもつ不安も似たような心理と考えるので、あえて予期不安と呼ぶことにします。

 

また、予期不安に振りまわされて、結果的にリスクを高めているケースも少なくありません。

たとえば、高齢ドライバーが事故を起こしたニュースを見て、「自分も事故を起こすのでは」と不安になり、自動車の運転免許を自主返納する人がいます。

 

では、実際に高齢ドライバーが事故を起こす確率はどのくらいでしょうか。

警察庁の統計によれば、2020年に起こった交通事故のうち、75歳以上の高齢者を第一当事者(加害者)とする事故の件数は2万5812件。

75歳以上で原付以上の運転免許を保有している人の数は、2020年末時点で590万4686人ですから、75歳以上のドライバーが1年間に交通事故を起こす確率は、単純計算で約0.4パーセントということになります。

 

同様に計算すると、30代、40代、50代、60代のドライバーが事故を起こす確率は、いずれも約0.3パーセントとほぼ同じです。

つまり、高齢ドライバーが事故を起こす確率は、ほかの年代と比べて少し高いといえます。

むしろ突出して高いのは16~24歳の若年層で、約0.7パーセントと高齢者を含むその他の年齢層のほぼ倍の確率で事故を起こしています。

 

一方で、65歳以上で運転をやめた人が6年後に要介護認定となるリスクは、運転を続けた人の約2.2倍にもなるという、筑波大学などの研究チームによる調査結果があります。

 

それまで日常的に車を運転していた人が運転をしなくなれば、必然的に出かける機会も意欲も低下します。

結果的に活動量が低下し、要介護認定リスクが上がると考えられます。

 

つまり、高齢者が運転を続けて事故を起こす可能性よりも、運転をやめて要介護認定になる可能性のほうが二ケタくらい高いと考えられるのです。

ただ、これには「介護予防のために運転を続けて、死亡事故を起こしたらどうする」という声があるのも事実です。

 

生活の自立度を高め、それが高齢者の自尊心を支えることにつながるという面からも、高齢者ができるかぎり運転を続けることに意味があると思います。

 

高齢者が新型コロナに感染する可能性と、外出自粛によって要介護になる可能性も、同様の関係にあると思います。

新型コロナの感染数がほぼゼロの地域に住んでいながら、感染するのが怖いからと家にとじこもっていれば、高齢者は1、2年で歩けなくなってしまうでしょう。

 

実際に診察し「○○が怖い」という不安にとらわれすぎて、かえって怖い状況に自分を追い込んでいるとしたら、それこそ怖いという気がします。

「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」

 

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人の体の老化は20代ごろから始まります。

老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。

30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。

健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。

動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。

 

認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。

ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。

 

脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。

一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。

このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。

「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。

脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。

ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。

 

ビタミンB12について?

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