第3章 常識に縛られない、おもしろい老人になろう 物知り老人=賢い老人ではない
第3章 常識に縛られない、おもしろい老人になろう
物知り老人=賢い老人ではない
歳をとっても賢い人でありたいと思い、知識を蓄えるために熱心に本を読んでいる高齢者がよくいます。
日本では長いあいだ、物知りな人が賢いとされ、もてはやされてきました。
実際、メディアが未発達だった時代には、人生経験が豊富なぶん、いろいろなことを知っている高齢者が、賢い「村の長老」として尊敬されていました。
その風潮はいまも残っていて、テレビのクイズ番組で好成績を上げる物知りな芸能人は、「賢い人」というイメージをもたれます。
しかし残念ながら、時代は変わりました。
物知りな人が、いくら得意げに「みんなが知らない知識」を披露しても、目の前の相手が手のなかのスマートフォンで検索すれば、はるかに詳細な情報が瞬時に出てきます。
そんな時代になり、もはや物知りの価値は暴落しています。
認知心理学においては、知識が多いほど「頭がいい」わけではなく、その知識を使って推論できることが頭のよさであるとされています。
その加工能力が重視されるのです。
あまりにも知識が乏しいと、それを加工して生まれるものも限られてしまうので、物知りであることに越したことはないのですが、それ以上に大事なのが知識を加工する能力です。
要するに、クイズ番組で強さを見せる高学歴のお笑い芸人が、本当に「頭がいい」のなら、それだけの豊富な知識を加工して、おもしろい漫才なりコントなりができているはずでしょう。
歳をとっても「頭のいい人」でありたいのなら、たとえば、テレビのニュース解説などに対して、「そうだったのか」と納得して終わらせず、そこで斜にかまえていかに人と違うことが言えるかを考えてみるのです。
知識をそのまま鵜吞みにするのではなく、自分の頭で考え、ときにはいちゃもんをつける感覚で自分の意見を述べる習慣をつけることが大事です。
テレビを観ながら、ニュースキャスターやコメンテーターが言うことに対して、あれこれいちゃもんをつけている高齢者が昔はよくいましたが、最近はあまり見かけなくなりました。
ほとんどの人が素直に「そうだったのか」と頷いているようです。
でも、それでは、当たり前のことしか言えない人になってしまいます。
「老いの品格 品よく、賢く、おもしろく より」
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人の体の老化は20代ごろから始まります。
老化は生きている以上避けられないものですが、何をどう食べるかで進行程度が変わってきます。
30代では個人差はさほどありませんが、40歳を過ぎて中年期に入るころからだんだん差が生じ、65歳を過ぎて高年期に入ると、健康状態にはっきりとした差が出ます。
健康寿命をのばす食生活に加えて、年代別の食べ物・食べ方に気をつけると、病気予防がいっそうアップします。
動脈硬化は年齢とともに発症しやすくなり、50代になるとほとんどの人(女性は60代から)に動脈硬化が見られるようになります。
認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、活性酸素やホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることもわかっています。
ビタミンB12について?