紅葉狩り

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紅葉狩り

『あぐらですわる』
紅葉狩りに行ったとき、ござの上にあぐらですわることがあります。
あぐらには、ひざ関節と股関節を柔軟にするストレッチ効果があります。
また、上半身を安定させるために腹筋と背筋が働くので、この2つの筋肉の衰えを防ぐ効果もあります。

ただし、あぐらは腰への負担が大きく、また肛門に刺激を与えすぎることがあるので、
ときどきは立ち上がって散歩することをおすすめします。

『老いたもの、ふるいものの美を感じる晩秋のひととき』
植物の葉も、人間と同様に、老化します。
落葉樹の葉が秋から冬にかけて赤や黄に色を変えます。
これが葉の老化現象です。

人間は老化するのに伴い、味わいのある風貌が現れてきます。
年老いたハリウッドスターをスクリーンで見ていると、若いころにはなかった渋みや色気や貫禄がにじみ出てきます。
老化は単なる衰えではありません。
老年期は、長い人生のなかで培われてきたさまざまな経験が、容姿を通してかもし出される時期です。
老化は醜ではなく美を作り出してくれるのです。

紅葉の葉の美しさもそうです。
日本人は古くから、「さび」に価値を置いています。
「さび」とは、古びたものに感じられるおちついた趣のことです。
赤や黄に色づいた紅葉の葉には、「さび」の美しさがあります。
紅葉狩りという言葉は「万葉集」の時代にも存在していましたが、実際に紅葉の鑑賞を行なうようになったのは平安時代からだそうです。
池に小舟を浮かべて舟遊びをしたり、楽器などを弾いたりして、紅葉の下で楽しんだようです。
江戸時代になると庶民にも紅葉狩りが広まりました。
その伝統が今に引き継がれているのです。

紅葉の名所は、日本全国に分布しています。
その大部分は山間部にあります。
葉が美しく紅葉するためには、日中は温暖で夜間に急激に冷え込むことが必要です。
山間部は昼夜の温度差が激しく美しい紅葉を作り出すのです。

こざを敷き、その上に並べた料理を肴に酒を飲みながら紅葉をのんびり鑑賞することは心のリフレッシュになります。

最近は地球の温暖化のために、日中と夜間の温度差が少なくなり、美しい紅葉が見られない年もあります。
人間は、生活を便利にしすぎるために、自然からの贈り物である紅葉を楽しめる機会を奪っているような気がします。

日本人は古くから自然の中に神の存在を感じたり、自然を通して思想を生み出したりしてきました。
自然とのつき合いをたいせつにする心を持ち続けたいものです。
                    (湯浅影元さんの連続エッセー 栄養と料理より)