日本の塩の歴史

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日本の塩の歴史

必須ミネラルなのに敬遠されているのがナトリウムです。ナトリウムは食塩の主成分(塩化ナトリウム)です。
塩は人間の生命維持に欠かせないもので、古代ローマでは、兵士の給料は大切な塩(sal)でわたされていたことから給料のことをサラリー(salaly)と呼ぶようになったとされています。日本でいえば米(禄)です。

大昔、木の芽や魚の内臓を常食していたころの日本人は、中に含まれている塩分を自然に摂ることができていましたが、塩分の含まれていない米が主食となり、そのうえ野菜が不足してくると、日本でも塩は大切なものになりました。また、カリウムを含む植物性のものをも多く摂る民族は、カリウムを排泄するときにナトリウムも排泄してしまうため、塩分を補うことが必要です。

そこで、海水からつくられた塩を、海岸の地域から内陸へ運ぶための「塩の道」ができました。内陸に約30くらいあるといわれる、「塩」がつく地名は、取引場所になっていたところなのだそうです。

日本では、1905年に、塩、タバコなどの専売制度が始まりました。
岩塩(塩の資源)がなく、そのうえ平地が少なく雨が多い日本では、長い間、効率の悪い方法で海水から製塩していましたが、1970年代には「イオン交換膜製塩法」(電流を流して海水を分離する方法)と呼ばれる塩の製造法を開発し、純度が高く安価なものがつくられるようになりました。そして、戦後設立された日本専売公社の民営化(1985年)、塩の専売制の廃止(1997年)を経て、2002年4月1日に塩は完全に自由販売ができるようになりました。

2002年4月1日発行の「月刊 現代」掲載された、「塩専売の30年間に何が起きたか 検証 『精製塩』が がん・生活習慣病の元凶だった!」という記事から4ヶ所抜粋します。
「食品分析センターが公表する市販の塩の栄養成分表を見ると、確かに、精製塩は自然塩に比較してカルシウムやマグネシウムカリウム、鉄分など、ミネラルの量は極端に少ない」
「セレニウムマンガンモリブデンといった微量必須ミネラルはまったく含有されていないのである」
「日本は欧米に比較し、水道水にミネラルの含有が少ない。また、野菜類にもミネラルが不足する日本の現状を考えると、食塩にカルシウムが含有されるかどうかで、特に骨粗鬆症に悩む閉経後の女性や青少年の心身の発達に対し、大きな影響があると考えられるわけだ」

河木成一医学博士は、「塩からミネラルが失われることは栄養価が失われるだけではなく、それが高血圧などの生活習慣病の多発にも拍車をかけたと主張する。さらに『高血圧の原因は、ミネラルの欠落した塩であり、塩一般ではない』と、これまでの塩に対する通念を180度逆転させた」

塩はもともとナトリウムだけでなく他の多くのミネラルも含んだ海水からつくられていました。
やはり自然のものは、自然の形で使うことが一番なのです。
「青春は食文化」より



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