「声を出す」「人と会話をする」ことの効能
現在、アルツハイマー病の新薬として開発されている薬品のほとんどは、アミロイドβの蓄積を防ごうとするものです。
動物実験の段階ではうまくいくのですが、人間ではなかなか効果が見られず、市販されるには至っていません。
それどころか莫大な研究費をかけた大手の製薬会社のいくつかが開発を断念しています。
アミロイドが蓄積するのを止める、という発想は比較的シンプルなのですが、それがうまくいかないという理由には、実は、それが脳の老化の本質との関わりがあるせいではないか、と考えています。
つまり、本質的な老化は止められないのです。
アルツハイマー型認知症になりやすいかどうかは、遺伝的要因が大きいといわれています。
親がアルツハイマー型認知症の有病者だと、子どももなりやすいといことです。
完全な遺伝ではなくても体質が似るのでしょう。
ただ、「頭を使っている人、日常生活でいろいろな作業、思考を行う人ほどボケにくい」という傾向はあります。
CTなどで脳の状態を見ると、発症しそうなくらいに脳の萎縮が進んでいるのに、日常生活では頭脳明晰という人もいます。
同じくらいの脳の萎縮の人を比較してみたら、日常的に脳を使っている人さほどボケていなくて、そうでもない人はかなりボケが進んでいる、知能テストをしても明らかに差が出る、という例もあるのです。
頭を使うといっても、とくに高度な使い方というわけではなく、経験上いちばん効果が高いと感じているのは「人との会話」です。
人と話すと、自分で考えて話をして、それに対して人から反応が返ってきて、さらにやり取りをするという作業になるので、脳を強制的に働かせることになります。
このとき、「声を出す」ということがポジティブ(効果的)なようで、担当しているアルツハイマー病の患者さんの中に、以前から趣味で「詩吟」を続けている人が何人かいるのですが、この人たちは進行があまり目立ちません。
詩吟でなくても、おそらくカラオケで大きな声で歌う、みんなで歌うというのも効果が見込めるでしょう。
仲間がいればワイワイ楽しめてよりよいのですが、一人カラオケでもかまわないと思います。
「「脳が老化」する前に知っておきたいこと より」
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認知症の多くは、脳血管障害の積み重ねで起こり、その原因のほとんどが脳梗塞です。
ですから、脳梗塞の前兆である隠れ脳梗塞を早期発見することで多くの認知症を防ぐことができるのです。
脳梗塞は、高血圧や糖尿病などの病気が原因となったり、生活習慣などによって血液がドロドロになって血液循環が悪くなったりして、血管が厚く狭くなり、脳の血管が徐々に詰まって進行していきます。
一般的に、脳梗塞の初期には、大きさ数ミリ程度の微小な梗塞が数個出現し、段階をへるごとにこの梗塞が脳のあちこちに見られます。
このような症状のないごく小さな梗塞が隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)です。
「隠れ脳梗塞(無症候性脳梗塞)は、早い人だと30代からあらわれ、40代を過ぎると急に増加するといわれています。
ビタミンB12や葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
ホモシステインはLDLと一緒になり血管壁にコレステロールを沈着させます。
また活性酸素と一緒になり、脂肪やLDLの過酸化、血管内皮細胞や血管の平滑筋の異常を引き起こします。
脳梗塞をはじめとする脳血管障害を生活習慣病の一つととらえ、ふだんから健康に保つ生活を心がけましょう。
老人の認知症の3割~5割を占めるアルツハイマー病の場合は、脳細胞が萎縮する病気です。
この萎縮を食い止めるためには、脳細胞を生成するためのタンパク合成、核酸(DNA)合成が順調に行われる必要があるのです。
ビタミンB12は、脳細胞のタンパクと核酸(DNA)の生合成を司っています。
新しい核酸、タンパク質が生まれ、それによって細胞も新しく生まれ変わり、「こわれた組織、細胞」と「新生の組織、細胞」が入れ替わります。
その結果若さにもつながると考えられます。
アルツハイマー型認知症の方々の脳脊髄中にはビタミンB12が少ないことが確認されています。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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