人生に真摯に向き合う
たとえばアルツハイマー病と診断されても、人生は終わりではなく、その後も長い経過があるので、人生をもう一度考える機会になります。
診断の結果を受けた後の人生をいかに生きるか。
それを考えることは、守りではなく攻めの一歩です。
敵を見極めることは、闘いの始まりです。
脳の異常を早く知り、対応策を打つことは、脳の健康寿命を維持することになるからです。
脳の状態を把握することは、全身の健康を把握するのと同じです。
アミロイドβの状態や生活習慣病の度合いによって、緊急度は人ごとに異なります。
身体の疾患治療でも、本当は、その人の肝機能が悪いのはなぜか、血糖値はなぜ高いのか、という点から、一人ひとりに介入しなければいけません。
どんなライフスタイルで、これから先どんな人生を送りたいのか。
病状に合わせた薬の処方箋を書くだけでなく、生き方の処方箋を共に考えるのが近代医学の務めであるはずです。
このような観点は、脳の病気ではさらに必要です。
どんな病気もその人の人生と生活の一部である以上、医師は全力で向き合わなければいけないと思っています。
辛い咳が出たり高い熱が出たりと、病気は患者に苦しみや痛みを強います。
しかし、咳は痰とともに細菌やウイルスを排除するため、高熱は熱に弱いウイルスを死滅させるため、痛みは病巣の場所を知らせるためです。
つまり、症状は自らの個体を守るための身体の防衛機能の表れなのです。
そう考えると、人間の身体はまさしく奇跡。
特に脳は、奇跡の臓器です。
その脳の機能に変調が生じることは一大事であり、生物体としての身体的な異常だけでなく、社会的存在としての人間のあり方にも大きな影響を及ぼします。
超高齢社会の中で、この脳機能の変化として最も典型的な例が認知症であり、中でもアルツハイマー病だということでしょう。
このアルツハイマー病の治療や予防は、かなりの部分で見通しがたってきました。
そして、その重要要点は、身体の寿命とともに脳の寿命を延ばすことにあるということです。
健康に生きて身体の寿命を延ばし、同じだけ脳の健康寿命を延ばすところに、人間が長生きする幸せはあるのです。
「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法 より」
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血管は「酸化」していくことで傷ついていきます。
たとえば、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が動脈硬化の原因になるということを聞いたことがあるかもしれません。
LDLコレステロール(以下LDL)が血管にへばりついて、プラークと呼ばれるこぶを血管の壁に形成していくのです。
でも、LDLには2種類あることをごぞんじですか?
それは、酸化したLDLと酸化していないLDLです。
LDLの中でも血管に悪さをしていたのは、実は酸化LDLだったのです。
ということは、血管を酸化から守るシステムがしっかりできていれば、酸化LDLは血管に付着しづらくなる。
それが血管老化を防ぎ、血管強化につながるということです。
この、血管の酸化を抑えてくれるのが、実はビタミンなのです。
ビタミンの中でも特に大事なビタミンが、ビタミンCとビタミンEです。
ビタミンCとビタミンEの抗酸化力は、非常に強力です。
心筋梗塞を起こした患者さんのグループが正常のグループよりも血中のビタミンC、ビタミンEの濃度が低かったとする報告もあります。
この2つのビタミンに、ビタミンAを加えた3つのビタミンは、いずれも抗酸化力が強く、ビタミンACE(エース)と呼ばれています。
そしてもうひとつ忘れてはいけない大事なビタミンがあります。
それはビタミンBです。
ビタミンBにはいくつかの種類があり、ビタミンBグループとして存在しています。
ビタミンBの抗酸化力は強くありませんが、細胞のエネルギー産生やエネルギー代謝を効率よくするためにはなくてはならないビタミンです。
体内で起こっている「酸化」の抑制にも間接的に関わっています。
B群は体中の細胞の正常な代謝活動を助ける「補酵素」として、欠かせない存在なのです。
ビタミンB12やB6、葉酸の吸収が悪くなると、ホモシステインという老化物質が増え、動脈硬化を生じることがわかっています。
また、ビタミンBは8種類すべてが互いに協力しあって体のエネルギーを生み出す働きに関わっているため、一緒にバランスよく摂ることがとても重要なのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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