失敗は、脳の最高のエクササイズ
29歳から56歳までの第2ブロックは、膨大な数の回路の中から、要らない回路をより分け、必要な回路を知るための28年間である。
とくに重要なのは、要らない回路を見極める作業だ。
無駄にところに電気信号が行きやすい状態では、ヒトは他者に翻弄されやすく、本質を見失ってしまう。
要らない回路を捨てることによって、人の思慮は深くなっていく。
その、要らない回路を見極めるために不可欠なエクササイズが、「失敗」なのである。
失敗して痛い思いをすると、その晩眠っている間に、脳内では、失敗に使われた関連回路の閾値(生体反応が起こるための最低値)があがり、電気信号が行きにくくなる。
つまり失敗の数だけ、人は、失敗しにくく、判断に迷わなくなる。
失敗が心に痛いほど、取り返しがつかないほど、脳への学習効果は大きい。
失敗は、脳をよくするために、人生で最も有効な入力なのである。
歩き始めた子どもは、何度も転んで痛い思いをする。
そうして、バランスのとり方のセンスを身に付ける。
人生も一緒である。
痛い思いをしなければ、センスはよくならないのだ。
失敗を避けていては、人生は先に進まない。
失敗を他人のせいにするとヒーローになれないわけ
しかし、よくしたもので、失敗のない人生はない。
誰もが、ちゃんと、痛い思いをするのである。
ただし、失敗を他人のせいにする人は、その失敗を脳に反映することができない。
せっかく痛い思いをしたのに、脳が失敗だと認知しないからだ。
失敗は、他人のせいにしてはいけない。
もったいなさすぎる。
失敗したら潔くそれを認めて、清々しい気持ちで寝ればいい。
くよくよする必要はない。
私なんか、失敗したら、「しめた!」と思うくらいだ。
今夜、頭がよくなるのだもの。
他人の失敗も、「私も、○○してあげればよかった」と言って、自分の脳にフィードバックすることにしている。
失敗の横取り。
親が、子どもの失敗を怖れて、先へ先へものを教えて、小言を与え続けていくと、つかみの悪い、反応の鈍い脳が出来上がる。
失敗を怖れる子育てでは、ヒーローは育たない。
30代の脳は、惑ったあげく、失敗して胸を痛め、潔く眠ることが使命だ。
失敗をいちいち悔やんでいたのでは、30代は生きていけない。
そして、与えられたことを与えられたとおりにこなしているのでは、失敗が足りない。
30代は、失敗を怖れず、与えられたこと以上の何かに挑戦しなければならない。
当然痛い思いもするが、それは脳の糧となり、ときには、その挑戦の中に、閉塞した状況を打破する、とんでもないアイデアがあったりする。
というか、とんでもないアイデアは、失敗の中にしか得られないのである。
失敗は、脳が、ぎりぎりを攻めている証拠だからだ。
絶対王者と言われるフィギュアスケートの羽生結弦選手も、バイク界のバレンティーノ・ロッシも、時に、大きな失敗をする。
けれど、あれでいいのだ。
ぎりぎりを攻めている挑戦者である証拠だから。
失敗と共にある成功だけが、前人未到の場所に、ヒーローを連れていくのである。
「成熟脳 脳の本番は56歳から始まる より」
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脳の中では、運動会のリレーのように、神経がバトンをつないで、指令を伝達していきます。
しかし、たとえばC地点の神経細胞が倒れてしまい、指令がそこで止まってしまう、という事態が起こります。
このとき、すぐにC地点の神経細胞を救出できれば復活したのですが、時間が経ち、死んでしまって、その指令も届かなくなる。
これが運動麻痺や言語障害の起こる理由です。
ところが、脳のすごいところは、C地点から今度はほかのルートでバトンを渡そうとするのです。
新たなルートで、新たなリレーのチームを作り、「言葉を話す」という指令を伝えようとします。
この新チームは、以前のチームのようにバトンの受け渡しがうまくなく、スムーズに指令が届きません。
しかし、何度も繰り返し練習するうちに、だんだんうまく指令が伝わるようになっていきます。
このようにして、死んでしまった神経細胞は復元しないけれど、ほかのルートで代用できれば、言葉がある程度話せるようになり、失語症もよくなっていくというわけです。
ニューロン同士が情報伝達を行うこと、つまり神経機能的連絡を行うためには、新経路の交差点ともいうべきものが必要であり、この交差点をシナプスと言います。
このシナプスは、歳をとっても増加し、より成熟した結合が進行するとされています。
高度の創造過程にも高密度のシナプス形成が必要と思われ、そのためには、それに必要な素材として神経系構成成分、つまり栄養成分が必要なことは当然で、また、その構築作業のための酵素、そしてそれを補佐する補酵素的ビタミンも必要となります。
その中でも重要なものがビタミンB12なのです。
脳科学の発達によって、さまざまなことがわかり、新たな試みがされています。
あきらめずにチャレンジし続ければ、復活の日はいつか訪れるかもしれません。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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