「考える機能」は使わなければ退化する!
「考える機能」は使わなければ退化する!
「前頭前野の深く考える機能」が低下すると、次のような脳の力が落ちてきます。
前頭前野は脳全体のコントロールタワーであるため、その中心的な機能が低下すると日常の脳活動に幅広い影響が表れるようになります。
・思考力・判断力が低下する
人間は深く考える生き物。
前頭前野の深く考える機能が低下すると、その人間ならではの力が落ちてきて、論理的に考えたり文章をまとめたり解決の筋道を模索したりする力が低下するようになります。
また、判断力も落ちて、自分の状況を的確に把握したり、自分にとってよりよい選択をしたりする力が低下するようになります。
さらに、こうした力が落ちると、「こんなに長い時間だらだらとスマホをやっていいのか」といった判断もきかなくなるようになります。
・集中力が低下する
前頭前野の熟考機能が落ちると、注意力が散漫になってひとつのことに集中できなくなる傾向が高まります。
すぐに何かに気を取られてしまい、作業を始めても集中が持続できないのです。
とりわけスマホ依存になっていると、絶えず着信が気になったり特定のサイトを数分おきにチェックするようになり、仕事や勉強などにも支障をきたすようになります。
・意欲が低下する
前頭前野の中心的機能が錆びついてくると、意欲、やる気、モチベーションも低下します。
とくに「スマホ脳」の場合、スマホやパソコンはだらだらとやっていても、ほかのことは何もやる気が起きなくなるというパターンになるケースが少なくありません。
また、こうした状態になると、「インプットが大量なのに、アウトプットが極端に少ない」というアンバランスがますます進んでいってしまうことになります。
・創造力・企画力が低下する
ひらめきやアイデアを創出するのにも前頭前野は深く関わっています。
しかし、日々ひっきりなしに情報にさらされて前頭前野が疲弊してくると、「ここを工夫してみよう」とか、「新しいものを生み出そう」といった考えが浮かばなくなってきます。
仕事などでも、いつものパターンを変えようとせず、工夫やチャレンジをしなくなるのです。
また、企画やレポートなどを出す際に、ネット検索で「コピペ」をして済ませるような人も多く、これも創造力・企画力低下の大きな要因になっています。
・コミュニケーション力が低下する
前頭前野の深く考える機能が錆びつくと、他人を思いやったり他人の立場を尊重したりする力も落ちがちになります。
また、会話をするために必要な思考力や判断力が落ち、ワーキングメモリーも低下しているため、思うように言葉が出てこなくなる傾向が目立ってきます。
このため、他人に自分の意思を伝えられなくなったり、他人の言葉を受けとめられなくなったりして、円滑なコミュニケーションをとることができなくなるケースが少なくありません。
・感情コントロール力が低下する
喜怒哀楽の感情コントロールも前頭前野において行なわれています。
このため、ここの機能が落ちると、うまく感情を制御することができなくなり、急にキレて怒り出したり、些細なことで泣き出したりすることが多くなります。
さらに、ちょっとしたことで深く落ち込むこともしばしば。
心の制御がきかなくなって、うつ病に発展していくこともめずらしくありません。
・遂行実行機能が低下する
前頭前野の熟考機能が錆びついてくると、ものごとを計画したり、それを計画通りに進めたりする「遂行実行力」が落ちるようになります。
この力が落ちると、仕事や家事、買い物、旅行などを予定通りにスムーズに進めることができなくなってくるのです。
また、料理を手順通りにつくることができなくなる場合もあります。
以上のように、「前頭前野の深く考える機能」がろくに使われない状態になると、多くの重要な機能が低下してしまうのです。
それに、スマホ利用者には、自分の頭で考えるべきことを検索して済ませたり、自分の頭で記憶すべきことを写真でメモしたりして、スマホを「外部思考装置」「外部記憶装置」のように使っている傾向が目立ちます。
これも、「前頭前野が使われる機会」を減らしている要因のひとつであり、「考える機能」を低下させている大きな原因だと言っていいでしょう。
人間の機能は、普段から使われないとどんどん働かなくなっていきます。
最近はAI(人工知能)を搭載したロボットや便利家電などがどんどん登場していますが、これからの時代、前頭前野で考えるべきことを、全部スマホやコンピューターに考えさせるような暮らしが当たり前になっていったとしたら、私たちの「考える機能」はどんどん退化していってしまうかもしれません。
前頭前野は「人間を人間たらしめている中枢」ですから、ここを退化させてしまうのは、人間らしさを失っていくのと同じこと。
「人間が人間らしさを失って退化していく」なんて言うとSFのように聞こえるかもしれませんが、これは決してSFでも冗談でもありません。
ひょっとしたら、私たちは日々スマホやコンピューターに依存した生活をすることによって、すでに「人間らしさを失う道」への一歩を踏み出してしまっているのかもしれないのです。
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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