脳が「情報メタボ」になると起こること
「スマホ認知症」は、一種の情報生活習慣病であると考えています。
あるいは、IT生活習慣病と言ってもいいでしょう。
そもそも、生活習慣病は、食事や運動の不適切な習慣が積み重なって引き起こされるもの。
簡単に言えば、食事のインプットばかりが多くて、運動のアウトプットが少ないために、体内のカロリーがどんどん過剰になってしまい、メタボや肥満、糖尿病、高血圧などの困った病気につながっていくわけです。
これは、脳の場合も同じなのです。
すなわち、情報生活習慣病・IT生活習慣病は、スマホなどのIT機器から「情報を過剰に入れ続ける生活習慣」によって引き起こされるもの。
情報のインプットが処理しきれないほどに多いのにもかかわらず、その情報を活かしたアウトプットをしていないために、脳が「情報メタボ」とでもいうべき状況に陥ってしまっているのです。
そして、こうしたインとアウトのバランスが偏った生活を長く続けていると、もの忘れ、記憶力低下、思考力・集中力低下などの困った症状が表れるようになり、だんだん脳の機能が低下していってしまうというわけです。
私は、このようにスマホなどからの過剰な情報インプットによってバランスを崩し、機能を落としてしまっている脳を「スマホ脳」と呼んでいます。
「スマホ脳」は、いわば、ひっきりなしに入ってくる情報に、脳の処理能力がついていけなくなっている状態です。
入ってくる情報があまりにも多量なために、何を、どう処理していいのかが分からず、前頭前野を中心とした脳の「考える機能」がフリーズしかかっているのです。
もの忘れ外来で「スマホ認知症」とされた方々には、ほぼ100パーセントの人に「スマホ脳」の傾向が見られます。
それも、かなり重度の「スマホ脳」になっていると言っていいでしょう。
ただし、「スマホ脳」になっているのは、別に「スマホ認知症」や「脳過労」の人たちだけではありません。
「スマホ脳」は、スマホやパソコンに依存した生活を送っていれば、誰にでも陥る危険があるもの。
おそらく、「スマホ認知症」や「脳過労」と診断された方々はほんの氷山の一角に過ぎず、水面下には数えきれないほどの「スマホ脳の人」や「スマホ脳予備軍の人」がいることでしょう。
別に脅かすわけではありませんが、知らず知らずのうちに「スマホ脳」になっているのかもしれません。
いつの間にか処理しきれないほどの情報をため込んで「情報メタボ」になっているのかもしれません。
現代の生活では、過剰な情報インプットによって脳を疲弊させているのが、もはや誰にとっても当たり前のような状態。
ですから、本当にいつ、誰が情報生活習慣病に陥ったとしても不思議ではないのです。
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記憶力の減退も、脳の老化を示す典型的な症状ですが、記憶のネットワークを活性化する働きをしているのが、脳の海馬という組織であることはよく知られています。
その海馬には、アセチルコリン系神経が集中しているのです。
脳が老化し、萎縮してしまうアルツハイマーとの関係はとくに深く、アルツハイマーの脳ではアセチルコリンが減少していることから、アセチルコリン不足がアルツハイマーのひとつの原因とも考えられています。
アセチルコリンの合成にはコリン、ビタミンB1、ビタミンB12などがかかわっています。
同時にこれらの栄養をとることが、アセチルコリンを増やすことにつながるわけです。
通常、コリンはレシチン(フォスファチジルコリン)のかたちで、食材から摂取されます。
レシチンはアセチルコリンの材料になるだけではなく、細胞膜の材料にもなっています。
とくに脳の神経細胞の細胞膜にはたくさん含まれていて、多彩な働きをしています。
血液にのって運ばれる栄養の細胞内へのとり込みや細胞内の老廃物の排出、神経伝達物質の放出や情報ネットワークの形成といった、脳の機能全体に深くかかわっています。
これが、レシチンが「脳の栄養素」と呼ばれるゆえんです。
そのレシチンを多く含んでいる食品の代表が卵黄です。
また、脳を酷使するときには、たくさんのビタミンB群が消費されています。
B群は脳の働きに重要な役割を担っているのです。
糖質を分解するB1が不足すると、脳のエネルギーが不足し、とたんに頭が回らない状態になります。
また、脳の神経伝達物質の合成すべての段階に関わっています。
神経の働きを整えたり、傷んだ神経を補修したり、タンパク質をドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質に作り替えるなど、「脳力向上」のためにもB群は欠かすことができないのです。
ビタミンB12について?
https://www.endokoro.com/libra/vitamin01.html
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